端午の節句のお祝いを飾るお菓子は、それぞれに意味が込められています。伝統的なお菓子に加えて、現代風にアレンジされた端午の節句の料理をいくつかご紹介します。
もくじ
端午の節句の伝統お菓子
端午の節句で食卓を飾る伝統のお菓子には、主に2種類あります。
柏餅
柏餅は、柏の葉に上新粉とくず粉を混ぜ合わせた「しんこ餅」と、あんを挟み、柏の葉を二つ折りにしたお菓子です。発祥は中国ではなく日本で、寛永(1624~1644年)の時代です。柏の葉は、新芽が出なければ古い葉っぱが落ちないという特徴がありました。そこから「子供が生まれるまで親が死なない」、つまり「家系が途絶えない」という考えから、「子孫繫栄」を象徴する縁起物として考えられるようになりました。
ちなみに、柏餅の柏の葉は一般的に食べないものですとされています。体に害はありませんが、食用として処理されていません。柏の葉を使っているのには理由があります。香りつけ、抗菌作用、保湿効果、手の保護などです。柏の葉は、「オイゲノール」という成分を含み、殺菌作用を持っています。柏の葉で餅をくるむと、乾燥を防いでくれます。
粽(ちまき)
粽は、中国から日本に入ってきた食べ物です。今から2300年前の「楚」の時代に、屈原という政治家がいました。屈原は正義感が強く、国民から支持されていました。しかし、陰謀によって失脚し、失意の末に川に身を投じます。そんな屈原の死を悲しんだ人々が粽を川に投げ入れたことに由来しています。
しかし、供物は屈原へ届く前に龍に盗まれてしまいます。そこで、龍の苦手な棟樹(れんじゅ)の葉で包み、邪気を払って五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛って川へ投げると、屈原の元へ無事に届いたそうです。粽も同様に災いを避ける効果を持っています。赤・青・黄・白・黒の五色の糸は、子供の無事な成長と魔除けを意味し、鯉のぼりの吹き流しや矢車の色ともなっています。
参考