【八十八夜の意味と由来】子供と八十八夜を楽しむには? - cocoiro(ココイロ) - Page 2

人々の生活に深い関りがあった八十八夜

農業や漁業にとって大切な時期

「八」「十」「八」を組み合わせると「米」という字になります。そのため、八十八夜は農家にとって特に大切な日とされていました。八十八夜のころになると天候は安定するため、農家はこの日を田植えを始める目安としていました。米以外の作物も種まきの時期にあたり、農家にとっては本格的に農作業の始まる大事な時期です。

漁業でも八十八夜は豊漁の季節です。特に、瀬戸内海ではこの時期を「魚島時(うおじまどき)」と呼び、産卵のため鯛やたこなどが集まってくるため、大漁が続きます。屋久島や種子島では、この時期にトビウオ漁が開始されます。

八十八夜は新茶の収穫期

「茶摘み」の歌にあるように、八十八夜は新茶の収穫期でもあります。日本では昔から八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きすると言われています。お茶の収穫は1年に3~5回ありますが、新茶はひと冬、ためこんだ栄養が蓄積されているので、栄養価も高く味わいも深く、大変重宝されます。

現代では、緑茶に含まれるカテキンには風邪予防や抗酸化作用などさまざまな効用があることが科学的に解明されています。最近では、埼玉大大学院理工学研究科の菅沼雅美教授の研究チームが、緑茶成分に免疫細胞活性化の効果があることを確認したと報道されています。昔の人はこれらの科学的知識はなくても、緑茶の効用を体験的に知っていたのでしょう。

参考
埼玉)緑茶成分に免疫細胞活性化効果 埼大院チーム確認|朝日新聞2018年10月5日

農家を泣かせる「別れ霜」「泣き霜」

4月中旬ごろまでは「花冷え」や「桜冷え」と言い、寒さが突然ぶり返すことがあります。八十八夜を迎えるゴールデンウィークごろになると、天候は安定し暖かくなります。農家はこの天候が安定する時期を待って、作付けを始めます。

しかし、作付けを始める八十八夜のころに、まれに遅霜が降りることがあります。シーズンの最後に降りる霜のことを「別れ霜」と呼びますが、この「別れ霜」が八十八夜のころに降りると、せっかく作付けした作物がダメージを受け、農家は大きな被害をこうむります。したがって、八十八夜のころに降る「別れ霜」は「泣き霜」と呼ばれ、農家は最も忌み嫌います。

八十八夜は単に暦上の日を表すだけでなく、作付けを始めた農家の人々が天候の行方を心配し、作物が無事育つよう祈る気持ちが込められています。