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八十八夜の意味をご存知ですか? 「夏も近づく八十八夜」という歌もありますし、晩春から初夏を指すということと、この時期に茶摘みが行われることは分かると思います。八十八夜にはそれだけにとどまらず、日本独自の気候風土と生活文化に根差した深い意味があります。ここでは、四季折々の行事や習慣を大切にしてきた日本ならではの八十八夜の意味と、由来に迫ります。
もくじ
八十八夜とは
立春より88日目。2019年の八十八夜はいつ?
八十八夜とは立春から数えて88日目のことを指し、2019年は5月2日が立春に当たります。「八」は末広がりで縁起のいい数字のため、「八」が2つ重なる八十八夜は縁起のいい日とされています。
日本では古来、季節を知る暦として「二十四節気」を使用していました。二十四節気は古代中国で作られ、当時の文化の中心地であった中国黄河流域一帯の天候を基準としていたため、日本の季節感と若干ずれがありました。
農業や漁業が主な産業だったその時代、季節の移り変わりや天候の良しあしは人々の生活に直接影響を及ぼしました。そのため、昔の人は二十四節気を補完するものとして、日本の気候風土と生活文化・農作業の時期とを照らし合わせて「雑節(ざっせつ)」という暦を作りました。八十八夜はこの雑節の1つで、日本独自の暦日です。雑節にはほかに、節分、彼岸、入梅、土用などがあります。
雑節の八十八夜の数日後に、二十四節季の立夏になります。つまり、八十八夜は二十四節気に先立ち夏の訪れを告げる日で、昔の人は「夏の準備を始める日」としてきました。
八十八夜はなぜ「夜」なのか?
八十八夜は夜を指すわけではないのに、なぜ「夜」と書くのでしょうか? 日本は昔、月の満ち欠けを基準とした太陰暦を使用していました。太陰暦では、月が地球の周りを一巡するのに29.53日かかるため、ひと月は29日または30日でした。
つまり、立春から月が地球の周りを3周した日がちょうど八十八夜にあたります。したがって、立春から88日目を数える際に、月を基準として何回夜が過ぎたかを数えたため、「八十八夜」と呼んでいたと言われています。