端午の節句は『こいのぼり』を歌ってお祝いしよう【歌詞と楽譜付き】 - cocoiro(ココイロ)

5月5日は「こどもの日」です。日本の伝統行事である端午の節句では、鯉のぼりを立て、五月人形を飾り、ちまきや柏餅などの祝いの膳で子供の成長を祈ります。そんなおめでたい日に、『こいのぼり』を歌ってみませんか。

当記事では、日本で長く歌われてきた、童謡『こいのぼり』の歌について紹介します。歌詞や楽譜もあるので、子供と一緒に歌ってみてください。

『こいのぼり』を歌ってみましょう

誰もが一度は聴いたことがあるであろう、「やねよりたかい……」から始まる『こいのぼり』とはいったいどのような歌なのでしょうか。曲が作られた背景や歌詞を学んで『こいのぼり』の知識を深めましょう。

『こいのぼり』はどんな歌?

『こいのぼり』の作詞者は近藤宮子、作曲者は不明。1931年12月に昭和初期に刊行された『エホンショウカ ハルノマキ』で初めて紹介されました。作詞者の近藤宮子は、童謡『チューリップ』の作詞者としても知られています。

1988年イタリアの国際児童歌唱コンクール「第30回ゼッキーノ・ドーロ」の出場曲に選ばれて日本人出場者によって歌われたり、2007年文化庁主催の「日本の歌百選」に選ばれるなど、日本を代表する童謡です。

また、2017年の保育士実技試験(前期)課題曲に取り上げられ、2018年には文部省唱歌として小学校5年生の音楽の授業の共通教材としても使用されるなど、古くから現在まで多くの子供に親しまれています。

歌詞

『こいのぼり』の歌詞は以下のとおりです。

やねよりたかい こいのぼり
おおきいまごいは おとうさん
ちいさいひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる

(引用元:こいのぼり 歌詞の意味 童謡・唱歌|世界の民謡・童謡

楽譜

『こいのぼり』の楽譜は以下のとおりです。

※楽譜は編集部で独自に作成

歌詞の意味と解釈

『こいのぼり』の歌詞は、大きい真鯉を父親、小さい緋鯉を子供と見立て、「(父親と)子供たちの健やかな成長の祈りが込められた鯉のぼりが、楽しそうに空を泳いでいます」という風景をストレートに表現しています。以下は歌詞の意味です。

歌の意味
屋根より高いところに飾られている鯉のぼり
大きな真鯉の鯉のぼりはお父さん
小さな緋鯉の鯉のぼりは子供たち
みんな楽しそうに空を泳いでいる

時代背景
『こいのぼり』の歌が作られたのは、1931年(昭和6年)です。『こいのぼり』の歌詞では、父親と子供たちの健康が願われている様が描かれていますが、母親が登場しないことに疑問が残ります。その謎をひも解くために、『こいのぼり』の歌のテーマとなっている鯉のぼりについて調べました。

鯉のぼりの始まりは江戸時代。武家に男の子が生まれると玄、家紋のついた幟(のぼり)を立てて祝うのが習慣でした。武家社会においては、家の発展のために嫡男(今で言う長男に近い意味)の健やかな成長が重視されていたため、鯉のぼりは嫡男を表すものだけでした。こうした武家の文化が次第に庶民層にも広がり、裕福な庶民が幟の代わりに、生命力の強い鯉をかたどった鯉のぼりを考案したのが始まりだと言われています。

その後、明治から昭和にかけて、父親を表す真鯉と子供を表す緋鯉の親子の鯉のぼりが定着していきます。『こいのぼり』の歌が作られた昭和初期には、江戸時代と比べて子供の生存率が上がったため子供をメインにする必要がなくなり、家父長制により父権が重要と考えられたため、歌詞の中でも「おとうさん」と「こどもたち」が登場したとされています。

『こいのぼり』の歌に母親が登場しないのは、このように江戸時代には男児が重要視され、明治時代から昭和初期には父親が重要視された時代背景があったからだと考えられています。鯉のぼりの赤い鯉で母親を表すようになったのは戦後になってからでした。

(参照元:鯉のぼりの歴史と謎|にっぽん洒落者帖

2番と3番も存在する!

実は『こいのぼり』の歌詞には2番と3番も存在します。近藤宮子によって作詞されたのは1番までですが、それ以降の歌詞は時代と共に付け加えられたとされています。

2番

2番の歌詞は「おかあさん」が登場するものと、登場しないものの2種類あります。いずれも作詞者は不明です。

「おかあさん」が登場するバージョン
近藤宮子による作詞の1番の歌詞の「おとうさん」から「おかあさん」に変更したものです。1番では父親、2番で母親が登場することによって、家族全員で楽しく空を泳いでいることがイメージできます。

やねより たかい こいのぼり
おおきい ひごいは おかあさん
ちいさい まごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる

(引用元:童謡「こいのぼり」の歌詞は?「鯉のぼり」は別の歌?|こそだてハック

「おかあさん」が登場しないバージョン
「ふきながし」とは、鯉のぼりの真鯉の上をひらひらと泳ぐ、5色の筒状のものです。吹き流しには魔除けの意味があり、子供の健やかな成長を願って飾られています。また、「かざぐるま」は矢車とも呼ばれ、幸せが四方八方からやってきますようにという意味が込められています。

この2番の歌詞では、真鯉や緋鯉だけでなく、吹き流しや風車も新緑の季節の爽やかな空を彩り、楽しそうに泳いでいる様が描かれています。

みどりの 風に さそわれて
ひらひら はためく ふきながし
くるくる まわる かざぐるま
おもしろそうに およいでる

(引用元:童謡「こいのぼり」の歌詞は?「鯉のぼり」は別の歌?|こそだてハック

3番

3番の歌詞は、比較的最近付け加えられたとされています。作詞者は不明です。鯉のぼりが空を泳ぐ様を擬音を用いて楽しそうに描写されています。

5がつの かぜに こいのぼり
めだまを ピカピカ ひからせて
おびれを くるくる おどらせて
あかるい そらを およいでる

(引用元:童謡「こいのぼり」の歌詞は?「鯉のぼり」は別の歌?|こそだてハック