「うちの子、もう幼稚園に通っているのにお片づけが全然できない」「幼稚園では整理整頓しているみたいだけど、家ではまったくやろうとしない」そんなお悩みをお持ちの方も多いと思います。いったいどうして、子供はなかなかお片づけができないのでしょうか。また、そんな子供が上手にお片づけするためにはどうしたらいいのでしょうか。
もくじ
子供は片づけが苦手な理由
まず、どうして子供は片づけが苦手なのかを考えてみましょう。私のしつけ方が悪いから……と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。子供がお片付けを苦手とするのには、きちんとした理由があるのです。理由をしっかり理解して工夫していけば、子供もお片付けができるようになっていくでしょう
「片づける」とは何かが分からない
実践女子大学生活科学部教授で保育学を専門とする松田純子さんによると、そもそも片づけは子供にとって、とても難しいことなのだそうです。
「大人にとっては難しいと感じなくても、『散乱したモノを、分類・整理して、あるべき場所に収納する』という一連の行動は、子どもにとってハードな作業なのです。漠然と『片づけなさい』と言われても、子どもはどうしたらいいか分からない。
(引用元:子どもに「片づけなさい!」は“無茶ぶり”だった | 日経DUAL)
大人の言い方が漠然としているから子供はうまく動けない、というわけです。大人にとってお片付けが簡単に思えるのは、何をどこに置けばいいのかが既に分かっているからではないでしょうか。恐らく大人も、中身がよく分からない箱を整理したり、他の人の荷物を片付けるような場面では、どのように分類するか判断に迷って時間がかかるでしょう。まして子供は大人のように物の分類に詳しくありませんから、子供が「片づけなさい」の意味を理解していなかったとしても不思議はありません。
もしお子さんがあまり片づけをしないようでしたら、それは決して怠けているわけではなく、何をどうしたらいいのか分からなくて、困っている状態であることも考えられます。何をどこに入れて、どうなっている状態が片づけなのか、まずはそれをお互いに共有するところから始めてみましょう。
片づけが理解できるのは3歳ごろから
また、同じく松田さんによると、そもそも片づけが理解できるようになるのは3歳ごろからだそうです。
しっかり片づけのできる子に育てようと、早い時期から片づけをさせたくなるかもしれませんが、3歳ごろまでは片づけよりも好奇心を育てることの方が大切です。それくらいの時期は片づけのことは一度忘れて、お子さんが望むようにいろいろなおもちゃで遊ぶことを重視しましょう。お片づけをやりたい場合は最後のひと手間、棚に置くところだけお願いするなど、簡単な作業にアレンジすることをおすすめします。そうするとお子さんの中で「片づけができた!」という感覚が育ち、お片づけを好きになっていくでしょう。
怒られて嫌になってしまう
小さいうちから無理にお片づけをさせたり、ちょっと難しい複雑な整理をさせようとすると、うまくできなくて大人も子供もイライラしてしまいます。そうするとつい「早くしなさい!」などと怒りたくなってしまうのではないでしょうか。
実はこうして怒ってしまうことがお子さんを片づけからまた遠ざけてしまいます。先ほどのとおり、お子さんが片づけを上手くイメージできず困っているとき、大人が怒ってしまうと苦手意識を持ってしまい、ますます片づけたくなくなるという悪循環に陥ってしまうのです。
せっかく本人は片づけようとしているのに、大人が怒ってその気を無くさせてしまうのはもったいないことです。部屋が散らかっていたらまずは落ち着いて、怒った声掛けをしないように気を付けましょう。