そもそも元号とは何?
独立国家としての主張
元号は、中国漢の武帝によって初めて使われました。皇帝は領土だけでなく時間をも支配するという考えを体現化したものです。
日本も中国の元号を採用し、西暦645年に初めて「大化」という元号が定められました。それ以来、日本では247の元号が定められています。日本だけでなく、韓国やベトナムなど中国周辺のほかの国も元号を使用していましたが、現在元号を使用しているのは日本のみです。
そもそも、日本が中国の影響を受けながらも、中国の元号をそのまま使わず独自の元号を定めたのは、日本は中国の一部ではなく独立国家であるという意思表示をしたと言う見方もできます。
戦後30年以上は法的根拠がなかった
第二次世界大戦前、元号に関する規定は大日本帝国憲法下の旧皇室典範に記されていました。しかし、敗戦によって大日本帝国憲法が廃止されると、元号は法的根拠を失いました。1946年に日本国憲法が公布された後、政府は元号法の制定を目指しましたが、GHQ(連合国軍総司令部)の反対によって断念しました。その後、元号は30年以上もの間法的根拠がないまま慣例的に使用され続けました。
過去にも廃止論が討議されていた
元号が漂流した30年間で、元号存続の是非について活発な議論が交わされました。現在の廃止論は利便性を問う声がほとんどですが、当時の廃止論は天皇統治に関するものでした。日本国憲法の制定により天皇は主権を失ったので、天皇統治の象徴である元号は廃止すべきであるという理論が、天皇の戦争責任論と共に主張されました。
元号存続賛否の議論を受け、政府は1977年に世論調査を行いました。結果、世論の80%が元号存続を支持し、1979年に元号法が成立しました。しかし、廃止論にも配慮し、国・地方公共団体などの公的機関を含め元号使用の義務は課されませんでした。
参考
元号とはなにか(5)元号の本質と将来の展望|10mTVオピニオン
元号選定の6つのポイント
元号法を制定した大平内閣は、元号選定の際留意する6つのポイントについて述べています。
1.国民の理想としてふさわしいような意味を持つもの
2.漢字2文字であること
3.書きやすいこと
4.読みやすいこと
5.これまでに元号又は諡として用いられていないこと
6.俗用されていないこと
(引用元:元号選定手続について|国立公文書館 デジタルアーカイブ)