新元号選定に関する規定
新元号選定の条件
元号法はたった2条ですが、それにともない、政府は元号選定に関する要領を定めています。それによると、元号選定の際は下記6点に留意するとしています。
候補名の検討及び整理にあたっては、次の事項に留意するものとする。
ア 国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること。
イ 漢字2字であること。
ウ 書きやすいこと。
エ 読みやすいこと。
オ これまでに元号又はおくり名として用いられたものではないこと。
カ 俗用されているものでないこと。
(引用元:元号選定手続について |国立公文書館 デジタルアーカイブ、P4)
新元号選定の手続き
元号選定手続きの要領には、元号候補名の考案から決定までの手順をすべて明記しています。
1. 若干名の識者に次の元号にするのにふさわしい候補名の考案を委嘱する。
2. 委嘱された者は、それぞれ2~5つの候補名を提出する。その際、各候補名の説明や典拠をつける。
3. 内閣官房長官と内閣法制局長官が候補名を精査し、数個の原案を選定する。
4. 各界の有識者若干名による「元号に関する懇談会」を開いて意見を聴取し、首相に報告する。
5. 首相は原案を衆参両院の議長と副議長に連絡し、意見を聞く。
6. 全閣僚で原案について協議する。
7. 閣議で改元の政令を決める。
なお、元号の選定に際し、政府は次期天皇陛下となる皇太子に事前に意見を聞くことはしません。しかし、新元号公表の前に天皇陛下と皇太子に報告することにしています。
参考
元号選定手続について |国立公文書館 デジタルアーカイブ
規定以外に注目すべき点
元号に過去使用された漢字は72文字のみ
これまでの元号は、初期のものを除き、儒教の基本書とされる五経や歴史を綴った正史など、中国の古典から縁起の良い字を2文字組み合わせて作成されています。最初の「大化」以来、合計247の元号が定められてきましたが、実際に使用されている漢字はわずか72文字です。しかもそのうちの21文字は10回以上使われています。
(参照元:新元号を探る 平成の次にくるのは?|NHK政治マガジン)
最も多く使われた「永」は29回、「天」と「元」は27回、「治」は21回、「応」は20回と、同じ漢字が組み合わせを変えて何度も使われています。決まった典籍より縁起の良い文字を選ぶとなると、選択できる文字は自然と限られてくるということでしょう。
アルファベット頭文字がM・T・S・H以外
明治以降の元号は、アルファベット頭文字で省略して書く場合があります。そのため、政府の規定にはありませんが、アルファベットの頭文字が明治以降の元号と重なるものは避けられると考えられます。
昭和から平成の改元の際も、元号の候補名は「平成」のほかに「修文」と「正化」がありました。しかし、「修文」も「正化」も、アルファベット頭文字がSで「昭和」と重なるため、「平成」が選ばれました。
従って、次の元号となるのは、ア・カ・ナ・ヤ・ラ・ワ行で始まる言葉だと推測されます。
過去の未採用候補の採用もあり得る
「平成」は、江戸末期の「慶応」という元号が選定された際に、 数ある候補名の1つとなっていました。また、「大正」「明治」「慶応」も、過去に元号の候補として挙がり、未採用となっていました。つまり、過去に検討されながらも採用に至らなかった候補名は、次の元号選定時にも候補となる可能性があります。
「元年ベビー」増えるか?
「ミレニアムベビー」効果で2000年出生数増加
新元号の元年生まれを狙い、出生数が増加するのではないかという推測が聞かれます。昭和から平成への改元と異なり、今回の改元は服喪の必要性がなく、祝賀ムードが盛り上がっています。したがって、2000年に出生数が増加した「ミレニアムベビー」の再現を期待する声が上がっています。
とは言うものの、出産は授かりもののため、さらに大きな期待がかかっているのが「元年婚」です。結婚は出産より自分の意思でコントロールできるので、元年中の結婚を目指す人が増えるのではないかと言われています。
新元号元年の翌年は、2020年の東京オリンピックです。祝事の続く年なので、「元年結婚」をして「オリンピックベビー」を目指したい人も多いでしょう。
希少な平成31年生まれを誇りに
2019年5~12月生まれの「元年生まれ」に対し、2019年1〜4月生まれの子供は希少な「平成31年生まれ」となります。特に2019年4月生まれの子供は、学校へ入学すると学年でたった1ヶ月の平成生まれとなります。
昭和から平成に改元する前後に生まれた1988~89年生まれの人も、一学年の中に昭和63年生まれと昭和64年、平成元年生まれの子供がいました。中には子供のころ、平成生まれの子供に昭和生まれをからかわれたと言う人もいます。
しかし、決して「あと1ヶ月遅く生んであげれば」と引け目を感じる必要はありません。赤ちゃんがこの世に生まれてくるということ自体が奇跡のような確率の出来事です。その奇跡の確率で生まれてくる赤ちゃんが希少な平成31年生まれとなった場合、これこそ奇跡的にすばらしいことと言えるでしょう。
まとめ
冒頭の2つの民間調査ではどちらとも、新元号の漢字予想ランキング上位に「安」と「和」がランクインしていました。これは、大規模な災害に見舞われることの多かった近年の様子を憂い、安全で平和な世の中になるように祈る国民共通の願いが表れているためでしょう。新しい元号の時代が、誰にとっても安全と平和であるように祈って待ちましょう。
参考
元号選定手続について |国立公文書館 デジタルアーカイブ
元号を作成する上での6つの留意点|10mTVオピニオン
日本の元号に最も多く使われた漢字は?|10mTVオピニオン
新元号を探る平成の次にくるのは?|NHK政治マガジン
新元号、学者提出の20案から絞り込み 国書由来の案も|朝日新聞2019年3月2日
「良い意味」「書きやすい」 新元号、候補名に6条件 |日本経済新聞2019年2月9日
新元号、官房長官が公表 首相談話で出典・意味解説 | |日本経済新聞2019年2月9日
「元年ベビー」ブーム到来?新元号に向け妊活始まる |日本経済新聞2018年8月3日
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