鉛筆に毒があるのか?
鉛筆の芯に毒があると子供のころに言われたことがある、という人もいるのではないでしょうか? 本当に鉛筆に毒があるのかを調べてみました。
黒鉛には毒が含まれない
鉛筆は黒鉛と粘土を混ぜ合わせて作っているもので、そもそも鉛は含まれていません。また黒鉛はダイヤモンドなどと同じ天然の鉱物で、炭素でできているものです。ですから鉛筆の芯に毒は含まれていないのです。
鉛筆の”鉛”は鉛の筆が由来
鉛筆に鉛が使われていないのに、なぜ「鉛筆」と呼ばれるようになったのでしょうか?鉛筆メーカー・三菱鉛筆のホームページには以下のような記述がありました。
いわゆる現在の鉛筆「以前のもの」は、鉛でできた棒「尖筆」でした。この鉛の棒は現在の鉛筆のように黒い跡は残せず、文字を真っ直ぐ書くためにあらかじめ薄く線を引く目的で用いられました。この鉛の棒を”lead pencil”(鉛の筆)と呼ぶようになり、呼び方と現在の鉛筆が一緒に輸入され「鉛筆」と訳されたのではないかと言われています。
(引用元:鉛筆には鉛を使っているのか お客様相談室 | 三菱鉛筆株式会社)
鉛筆が出来上がる仕組み
鉛筆は黒鉛と粘土を混ぜ合わせ、1000℃以上の熱で焼き固めて作りますが、出来上がるまでの仕組みはどのようになっているのでしょうか? 写真とともにご紹介していきます。
鉛筆の芯を作る方法
まずは、一大鉛筆メーカーである三菱鉛筆が公開している、鉛筆の芯を作る方法についてご説明します。
1.原料(黒鉛と粘土)に水を加えて、ミキサーで細かくし、よく混ぜて練り合わせます。
2.練り合わせたものに圧力を加えて丸い筒の形に圧縮します。直径10.5センチ、長さ35センチほどです。
3.丸い筒形になった原料を芯の太さに押し出し、20センチほどに切りそろえます(その時、芯はまだ柔らかい)。
4.乾燥機で乾かしたのち、丸い容器に入れ、1000℃~1200℃の炉で焼き固めます。
5.すべりを良くするために芯に熱い油をしみこませ、ゆっくり冷ましてできあがりです。
(引用元:鉛筆の芯 鉛筆ができるまで|三菱鉛筆株式会社)
鉛筆に使われる木とは?
鉛筆の材料として最適なのは、
きめが細かい
ふしがない
木目がまっすぐ
という条件の木だと言われています。鉛筆メーカーである三菱鉛筆では、インセンスシダーという名前の木を使っています。アメリカ・カリフォルニア州のシエラ・ネバダ山中に育つヒノキの一種で、この木が現地で加工されて、スラットと呼ばれる板になって日本に運ばれてきます。
(引用元:鉛筆の木 鉛筆ができるまで|三菱鉛筆株式会社)
鉛筆に芯の原料を注入
別々に作られた芯と木が合体し、ついに鉛筆が出来上がります。
1.接着剤の塗られた溝に芯を乗せます。
2.もう1枚のスラットを重ねて、はり合わせます。
3.上の面を鉛筆の形に削ります。
4.下の面を削って1本1本切り離します。これを「生軸(きじく)の鉛筆」と言い、色鉛筆も同じ作り方をします。
5.機械で塗料を何度も塗ってきれいにします。
6.両端を切り落とし、文字などを入れます。
7.1ダースずつ機械で箱に詰めます。
(引用元:鉛筆の芯と出会う 鉛筆ができるまで|三菱鉛筆株式会社)
機械を用いながら、非常に精巧に作られていることが分かります。