本来、子供たちが主役である学校運営をより良くするために組織されたPTA。しかし、数々の問題点が災いし、その組織運営に不満を持つ保護者も多く、存在意義にすら疑問を呈する関係者が増えてます。PTAが抱える問題を浮き彫りにし、将来の展望を考えてみましょう。
もくじ
PTAってどういう組織?
PTAとは?
PTAはParent Teacher Associationの略です。つまり、親(P)と先生(T)で組織(A)する任意の団体のことです。PTAを保護者の団体と認識している人が多いですが、学校の先生も団体員に含まれています。
一部の学校ではPTAではなく、学校職員Staffを含めたPTSA、地域社会Communityを加えたPTCAとし、より一層学校運営に係わる関係者層を厚くして協力を促しています。
このことから、PTAは、学校運営に関わる大人全てが団体員を構成すべきという認識であることが分かります。
PTAに参加するメリット
PTAに参加することで得られるメリットは、以下の5点です。
- 地域と密接になる。
- 学校教育の仕組みを知ることができる。
- 先生と親しくなるきっかけができる。
- 行事の決定権を持てる。
- 家族の会話が増える。
では、このようなメリットがあるのにもかかわらず、なぜPTAに参加することを快く思わない人が多いのでしょうか。
PTAの4つの問題点
任意加入団体だが、活動や参加が強制される
PTAは、任意加入団体であるにもかかわらず、加入は半ば強制的です。PTAへの加入を断った場合に、PTA役員から、加入拒否の理由や家庭事情の詮索を受ける例が全国で見られます。しかし、2005年に全面施行された「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」では、このような個人の事情を問い合わせることは、法に抵触する行為であることが明らかになっています。
また、PTAに加入した後は、役員活動への参加を理由なく断ることはできず、もし断る場合には、家庭事情や勤務状況などの申し出を行わなければなりません。
さらに、役員に選ばれると、役員業務への拘束力が生じます。業務の均一性を重視して役割分担を行うため、断ることが難しいのが現状です。PTA会議が開催される時間は、平日午前中である場合が多く、小さな子供を抱えている家庭や、働いている保護者が会議に参加しにくいにもかかわらず、休むと「業務を放棄した」という無言の圧力がかかります。
会費強制徴収の問題
PTAに加入すると会費が徴収されるのですが、その使途が不透明です。会計報告が書面にて行われるのは年1回である場合が多く、その明細を全団体員に開示されることは、まずありません。
PTAは非営利団体ですので、どんなに多くの時間を費やしてPTA活動に貢献しても、労働の対価を求めることはできないことも、不満を生む結果になっています。PTA活動のために、仕事を休んで参加する保護者もいますが、中にはPTAの重役に選ばれたことで転職を余儀なくされる保護者もいます。
本来得る予定だった賃金を、PTA活動に拘束されることで得られなくなるという問題があるのです。
前例踏襲主義
PTA役員の任期は通常1年です。よって、毎年役員交代があり、ほとんどの役員が未経験で業務を開始しなければならないため、前例通りの業務を惰性で行うことになります。時代の流れを経ても改変されることのない業務に、非効率さや無駄を感じても、改善されることはなかなかありません。
万が一、改善しよう動いても、「歴代の役員の努力を無視した」「任期1年だけなのだから新しいことをする効用は得られない」などと反発を受けることが多いため、途中で頓挫してしまうという問題があります。
権限をもったと勘違いする親たちがやりがちなこと
非委員への勝手な振る舞い
PTA役員に選ばれると、権限を持ったと勘違いし、勝手に振る舞う保護者がでてきます。もともとが任意団体であるため、権限を持って団体員に義務を押し付けることはできません。しかし、学校の内部事情を知っているという優越感から高圧的態度をとる保護者の勝手な振る舞いが、PTAそのものへの負のイメージを煽る結果となっています。
さらに、役員内部でもカーストが存在し、本部役員などの上位組織からの依頼を断れないという暗黙の了解があるのです。
学校や先生への圧力
PTAの構成員である先生方ですが、PTAに苦手意識があるという意見が大半を占めています。過去、保護者たちが集団で先生を糾弾したり、学校に圧力をかけるといった黒歴史があるからです。また、保護者の中には、学校の経営そのものまでに口を出す権限があると主張し、介入しようとした事例もあります。
そのため、先生方には、自身がPTAの構成員であるという認識よりも、PTAは圧力団体であるという心理が勝り、敬遠してしまうという現実があります。