春一番の定義とは
春一番の定義ですが、以下の条件を満たした場合に「春一番」と判断されるようです。
関東地方の春一番は、下記の事項を基本として総合的に判断して発表しています。
1)立春から春分までの期間に限る。
2)日本海に低気圧がある。低気圧が発達すればより理想的である。
3)関東地方に強い南風が吹き昇温する。
具体的には東京において、最大風速が風力5(風速8.0m/s)以上、風向はWSW~S~ESEで、前日より気温が高い。(なお、関東の内陸で強い風の吹かない地域があっても止むを得ない)※気象庁調べ
(引用元:関東地方の春一番|気象庁天気相談所)
風速や風向き、前日よりも気温が高いなど、さまざまな条件を満たして初めて「春一番」と認定されるようです。条件は地域ごとに異なり、例えば九州北部では、風速7メートル以上などと基準が設定されているようです。低気圧が発達しながら日本海を北上すると、南から暖かい風が強く吹き込むため、季節外れの陽気になるといわれています。
春一番は必ず訪れるものではない?
春一番は認定基準があるため、発生しない年もあるようです。例えば、立春の前や春分を過ぎてから南よりの強い風が吹いたとしても、それを春一番とは呼びません。また、春一番の風向きの条件は南寄りなため、風向きが北よりや東よりの場合も、春一番とは認定されません。
最近では、2015年において、東京・関西・東海地方は春一番は吹かなかったとされています。地形的な条件により、関東や北陸は他のエリアに比べると南よりの強い風が吹きやすいといわれています。
春一番が吹かない地域
春一番の認定条件を満たさなければ、春一番が吹いたという発表は行われませんが、中には春一番が「吹かない」地域もあるようです。
例えば、山梨県・長野県・東北・北海道・沖縄では春一番が吹かないといわれています。理由としては、山梨県や長野県の場合は内陸で、地形が盆地や山あいのどちらかになるということや、山があるため海からの南風が届きにくいという点が挙げられます。
また、沖縄は日本海からは外れた場所にあるため、春一番は吹きません。さらに、東北や北海道などの北日本では、春一番が吹く時期に高気圧が残っているため、春一番が吹かない地域とされています。
春一番に注意するべきこと
春一番は、言葉だけを見れば春の訪れを告げる優しい風であるかのようなイメージがありますが、海上では大しけで海難事故が発生しやすくなり、飛行機のダイヤに影響するほどの風が吹くとされています。また、春一番が吹くことで季節外れの温かさとなりますが、低気圧が通過した後は雪や雨、気温が下がるなど、気温差も大きくなりやすいといわれています。それでは、春一番に注意すべきポイントについて紹介します。
災害発生のリスクがある
春一番が吹くと気温が上がるため、過ごしやすい陽気に早変わりします。しかし、気温の上昇は雪崩を誘発する可能性もあることから、冬山登山やスキーを楽しむ方は雪崩などに注意する必要があります。
また、関東や関西では春になると船釣りが盛んになりますが、想像以上の強風により、海がしけて船が転覆してしまったり、突風によって釣り人が海中へ転落するといった事故も起きやすくなります。強風は海の上では特に強くなるため、注意が必要です。
乾燥した風が強く吹き付ける春一番は、たとえ小さな火でも大火災にまで発展させる恐れがありますので、火事にも十分注意しましょう。