子供が不登校になると、親は子供のその後を心配します。しかし、過去に不登校を経験した人の中には、現在社会で活躍している人がたくさんいます。不登校の子供はどのような道をたどるのでしょうか。また、不登校を克服して現在社会で活躍している人の親は、どのように子供をサポートしていたのでしょうか。
もくじ
中3のときに不登校だった子供の5年後
約5人に1人が非就業・非就学
文部科学省が2014年に、中学3年時に不登校だった子供1,604名の5年後の様子を追跡調査をしています。それによると、20歳時点で半数近くが学校に通っていたのに対し、学校にも通わず仕事もしていない人は18.1%に上りました。2010 年の国勢調査によると、全20歳人口の非就業・非就学率は8.6%なので、不登校経験者の非就業・非就学率は高い傾向にあると言えます。
(参照元:不登校に関する実態調査報告書 第3部 分析編(3) ・ 第4部 ケース分析|文部科学省、P145)
非正規就業が約3割
中学3年時に不登校だった子供は、20歳時点で9.3%が正社員として勤務していたのに対し、32.2%はパートやアルバイトなどの非正規の仕事に就いていました。2010年の国勢調査では、対象年齢が20~24歳と若干異なるものの、正規職員は39.2%、非正規就業は24.0%でした。
(参照元:不登校に関する実態調査報告書 第3部 分析編(3) ・ 第4部 ケース分析|文部科学省、P144)
約4人に1人が大学生
中学3年時に不登校だった子供の20歳時点での就学状況を見てみると、高等専門学校・短大・大学へ在学中の回答者が22.9%いました。文部科学省は2001年にも、中学3年時に不登校だった子供の5年後の追跡調査を行っています。そのデータと比較すると、2001年の高専・短大・大学への就学率は8.5%より、大幅に改善されているのが分かります。
(参照元:不登校に関する実態調査報告書 第3部 分析編(3) ・ 第4部 ケース分析|文部科学省、P144)
その一方で、2010年の国勢調査によると、20 歳人口のうち58.8%が大学・大学院・短大・高専に在学しています。これらの全国平均と比べると、不登校経験者の進学のサポートはまだ改善の余地があると言えます。
すでにやりたい仕事をしている人は後悔していない
2014年の文部科学省の調査では、「将来やってみたい仕事があるか」についても聞いています。それに対し、有効回答数1,569人のうち6割以上が「ある」と回答し、「すでにやりたい仕事に就いている」という人は122名いました。
(参照元:不登校に関する実態調査報告書 第3部 分析編(3) ・ 第4部 ケース分析|文部科学省、P150 )
「不登校によるマイナスの影響を感じるか」という質問に対しては、「将来やってみたい仕事がない」という人については3割がマイナスの影響を感じているのに対し、「すでにやりたい仕事に就いている」という人の中では、マイナスの影響を感じているのは1割のみで、6割以上の人は感じていないと答えています。
(参照元:不登校に関する実態調査報告書 第3部 分析編(3) ・ 第4部 ケース分析|文部科学省、P150)
つまり、不登校により就学・就業のハードルが上がることは事実ですが、個人の努力と周囲のサポート次第では理想の仕事にも就けるし、不登校だったことによりマイナスの影響を受けることもないと言えるでしょう。