フリースクールへ行くことの意義
不登校児童の受け入れ先
不登校の問題が学校で解決できない場合、不登校児童の学校以外の受け入れ先が必要となります。画一的な学校生活に代わる多様な選択肢の1つが、フリースクールです。
フリースクールとは、不登校の子供を受け入れることを主な目的としている団体や施設を指します。平成27年に文部科学省が義務教育段階の子供が通う319の民間団体・施設を対象に行ったアンケート調査によると、不登校の小中学生が通っている団体や施設のうち、約7割以上がフリースクールでした。
(参照元:小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査|文部科学省,P6)
「引きこもり」を防ぐフリースクール
フリースクールへ行くことの最大の意義は、子供が社会との接点を保つことです。学校へ行かない・行けないと、人と接する機会が減り、子供は社会に取り残されたような不安を感じます。フリースクールは、不登校の子供が家族以外の人と接する場を作り、「家庭以外の居場所」を提供しています。
少人数制で個別対応
中学生になると勉強が難しくなり、学校での集団画一的な授業にはついていけなくなる子供が大勢います。中学生で不登校になる児童は学習面で問題を抱えている場合が多く、学力のばらつきが大きい傾向があります。
フリースクールは在籍者数が1~5人の団体・施設が4割を占め、20人以下が全体の8割です。
(参照元:小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査|文科省調査,P9)
少人数のため、子供1人1人の習熟度・理解度に合わせた個別の学習サポートができます。また、個人の興味や個性を尊重し、子供本位の学習・体験の場を提供しています。
フリースクール生の半数は中学出席扱いに
フリースクールは正規の教育機関ではないため、学校としては認められていません。したがって、義務教育期間中の子供は、通っていた学校に籍を残したままフリースクールへ通うことになります。
フリースクールと地域の小・中学校は連携していることが多く、在籍校の校長が認めれば、フリースクールへの出席日数は在籍校の出席として数えられます。実際に、フリースクールへ通う小中学生の5割以上は、在籍校での出席扱いとなっています。
(参照元:小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査|文部科学省,P8)
卒業証書も同様に、在籍校が発行します。
フリースクールの種類
学校復帰目標型
通っていた学校に復帰することを目標とするフリースクールです。週5日の規則正しい登校を促したり、学校の学習進度に追いつくよう指導したりします。スクールカウンセラーがいて、生徒の心のケアをしているところもあります。
子供の居場所提供型
学校への復帰を特には目指さず、子供にとって居心地の良い場所を提供することを主な目的としているフリースクールもあります。決まったカリキュラムを持たずに、子供の興味や主体性に応じてプログラムを提供しているスクールが多くあります。
専門家連携型
臨床心理士やスクールカウンセラーと連携しているフリースクールもあります。専門的な見地から個別の状況に合わせたサポートをします。
共同生活型
フリースクールの中には寮を完備しているところもあります。従来の生活からいったん切り離し、ほかの生徒と一緒に共同生活をします。
自宅訪問型
自宅に引きこもり外出が難しい場合、スタッフが自宅を訪問してくれるフリースクールもあります。学習指導にとどまらず、スタッフとの交流を通じて、外に出られるよう働きかけます。