ほめるだけがしつけじゃない「飴と鞭」を利用した教育法とは - cocoiro(ココイロ) - Page 2

飴と鞭には効果があるの?

古くから慣用句としても多く利用されてきた飴と鞭という手法ですが、実際のところどれだけの効果が期待できるのでしょうか。メリットとデメリットをまとめました。

飴と鞭のメリット

子供のモチベーションアップにつながる!

心理学では行動に対して報酬と罰と組み合わせることで行動や学習に変化があることが分かっています。このような条件づけはオペラント条件付けとも呼ばれます。

例えば、子供がお手伝いや学習をしたときに、褒められたり、ごほうびをもらえたりという正の刺激を与えることで、その行動を繰り返すようになるのです。逆に悪いことをしたときには罰を与えることで、同じ行動を繰り返さなくなります。子供によってどのようなごほうびや罰が効果的かには個人差があります。しかし、戦略的に使えば、子供のやる気やモチベーションアップにもつながるでしょう。習い事や学習塾に通いたくないという子供には通うときに報酬を与えることでやる気につながるかもしれません。

教育にメリハリがつく!

飴と鞭は親から子に与える態度にメリハリをつけることにもつながります。叱ってばかりの教育はもちろんのことですが、ほめるだけの教育にも不安を感じるという人は多いでしょう。そのような場合は、飴と鞭の効果を使って叱るときは叱る、ほめるときにはしっかりほめる教育を導入してみましょう。

例えば、子供が勉強を始めたもののダラダラと続けている場合を考えてください。このような場合であれば、勉強を惰性でしていることをまず注意します。そしてその後で勉強を自発的に始めたことをほめましょう。悪い点を指摘した後にほめることで注意であっても子供が受け入れやすくなります。

注意することがいくつかあるような場合であっても指摘をした後に評価できる点を言ってあげることで、言うこと全体の印象が明るくなるでしょう。叱り続ける教育は子供を委縮させてしまうかもしれません。ほめる点はきっちりほめることで子供も悪いところだけでなく、良いところも見てもらっていると安心感を抱くでしょう。

飴と鞭のデメリット

飴と鞭にはメリットがある一方で使い方を間違えると弊害もあります。

マウスの実験からもわかる鞭の弊害

飴と鞭の効果を実証した実験としてはマウスに迷路を覚えさせる実験が有名です。正しい方向に進めばエサが与え、間違えば電気ショックを与えることで迷路の道筋を覚えさせるという実験は世界的にも有名です。

飴と鞭の効果で学習効果が高まったのであれば、やはり飴と鞭が優れているといえるかもしれません。しかし、この実験には続きがあります。この実験においてマウスに流す電流を強くする、つまり罰を強くしてしまうとマウスは道を覚えるどころか学習自体をやめてしまうのです。

「勉強しなさい」という言葉を聞くと子供のやる気がそがれてしまうという話を聞いたことはないでしょうか。無理に強制したり、強く叱りすぎたりすることで子供に自然と生まれた意欲をつみ取ってしまうことがあるのです。

またごほうびを与えるかどうかも意見が分かれるところです。ある実験では組み立てパズルを使って大学生に実施しています。これはパズルがとけた時にごほうびを与えるチームと、そうでないチームの行動の違いを分析したものでした。

当然、ごほうびがある方がパズルにのめりこんだと考えるかもしれません。しかし、実際にはごほうびがないチームの方がパズルにのめりこんだとされています。この実験のほか、幼児にごほうびを約束して絵を描かせる実験でも近い結果が報告されています。

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飴を与えることでやる気をそぐことも

飴と鞭の効能を調べた実験としては1962年にグラックスバーグが行った実験も有名です。これは頭を柔らかくしなければいけない問題を使用して、賞罰を与えた場合とそうでない場合の効果を測っています。その実験では単純計算などの簡単な問題では賞金があったほうがいいものの、頭を使わなければ解けないような問題では逆に成績が下がることが分かりました。さらに賞罰が大きいほど解答までの時間がかかり、正解率も下がるという結果が出ています。

この結果についてグラックスバーグは、強い目的があることで、今までの固定概念が消えず新しいことを思いつくことを阻害すると述べています。報酬を与えることによってそれが逆にストレスになってしまうことがその原因ではないかと推測できるでしょう。

例えば、子供が絵を描いていたり砂遊びをしていたりする時にそれに優劣をつけてごほうびを与えてみるとどうでしょうか。今まで楽しんで行っていた遊びであっても、それに優劣をつけることで、途端につまらなくなってしまうでしょう。つまり、報酬を与えることで純粋に楽しんで行っていたことも、つまらなく感じてモチベーションが下がってしまいます。子供にはもともと新しいことを知る、学ぶことに対して自然な欲求があります。報酬を与えることでその意思が下がってしまうかもしれまん。また罰にも同じようなことが言えます。

子供は罰が与えられることで、罰があるから悪いことをしないようにと考えるようになってしまうことがあります。それは罰が与えられなければ問題ない、ばれなければいいというような考え方にエスカレートしてしまうかもしれません。子供が小さいときには難しいかもしれませんが、成長とともに罰が嫌だからしないのではなくその行動自体が悪いことであると自分で判断できるようにならなければいけないのです。

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