賢い子は知的好奇心が旺盛?
知的好奇心は、子供を賢くすると言われます。それはなぜなのでしょうか。子供の知的好奇心を高めることで得られるメリットを3つ説明します。
脳の発達を促す
知的好奇心は子供の脳を発達させます。知的好奇心が生むハマり体験で物事を突き詰めていくと、脳にプラスになる刺激を与え、さまざまな箇所を活性化し、脳のネットワークを作っていくからです。
知的好奇心を持ったことに対して、没頭して取り組んでいるときの「楽しい!」という感情は、ドーパミンを放出させます。ドーパミンは快感や幸福感、やる気を生み出すホルモンです。ハマっているものについて考えているときに感じる感情は、ドーパミンによって生み出されているもの。熱中しているときの集中力は非常に高く、ドーパミンがどんどん分泌されます。ドーパミンは脳を大いに刺激し、脳のネットワークを強くして、脳を大きくしていくのです。
勉強が楽しくなる
「勉強=嫌なこと=やりたくない」と考える人が多いでしょう。しかし、16万人の脳画像を分析した東北大学の瀧靖之教授が監修した『東大脳の育て方』(主婦の友社)によると、東京大学の学生は勉強を勉強と思っておらず、趣味のように楽しんでいる人が多いという事実があります。この違いに関係するのが知的好奇心なのです。瀧教授によると、東大生の92%はハマり体験を経験しています。
ハマったものを極めたいという気持ちは、
- 知識欲・学習欲
- 探求心
- 課題解決力
- 想像力
- 独創性
などを伸ばしてくれます。ハマり体験をとおして、知らないことを知るためにはどうすれば良いのかを学ぶことができるからです。
勉強はまさに、知らないことを知っていくこと。そしてできないことをできるようにしていくこと。ハマり体験は、勉強に必要な力を楽しんでいるうちに身につけることができます。ハマり体験を身につけると、勉強に苦痛を感じることなく楽しくできるようになるでしょう。
将来的なメリットも
子供たちにとってはだいぶ先の話になりますが、知的好奇心は認知症になるリスクを下げてくれることも分かっています。認知症は脳の機能が低下することによって起こる病気。高齢になったとき、年齢と共に脳の機能が衰えていくのは仕方のないことで、止めることはできないものと思われています。しかし、実は脳の機能の低下は防ぐことができ、その方法の1つが知的好奇心を持つことなのです。
米国ラッシュ大学医療センターの研究チームが2013年に発表した研究「Life-span Cognitive Activity, Neuropathologic Burden, and Cognitive Aging」で、脳に刺激を与える活動を行う頻度に比例して、記憶力や思考力の衰えがおさえられることが証明されました。子供のころから知的好奇心を持っていると、脳が成長します。そして、子供のころから知的好奇心の強い人は生涯知的な活動を続け、脳に刺激を送り続けていく機会が多くなります。その結果、将来脳が衰えにくく、認知症予防につながります。子供のうちに知的好奇心を高めることが、後の人生にも影響するのです。