「学力低下」論争はいらない!子供の可能性を信じる教育を

「学力低下」論争はいらない!子供の可能性を信じる教育を

子供の学力低下は、時折メディアで取り上げられるテーマです。学力低下に関する論争は数多くありますが、それを論じること自体が子供の教育にプラスになるのでしょうか。ちまたの学力低下論争や文部科学省の改善方策、家庭でできる学力向上についてお伝えします。

「学力低下」論争で子供の学力は良くならない

「学力低下」論争で必ず指摘される「ゆとり教育」

学力低下を語る際に必ずと言っていいほど話題に上がるのが「ゆとり教育」です。ゆとり教育とは、1990年代ごろから2010年代ごろまで実施されていた学校教育のことを言います。それまでの詰め込み教育への批判や青少年の諸問題が社会問題として浮き彫りになり、授業時間削減で完全学校週5日制や、全人的な「生きる力」の育成を行うための教育でした。

ゆとり教育を受けた生徒たちは「ゆとり世代」と呼ばれ、メディアや世間一般ではネガティブなイメージを基本的に持たれてきました。「甘ったれ」「失敗経験に乏しく、打たれ弱い」「競争を知らない」「感謝を知らない」と印象が広まり、その世代というだけで全員がすべて同じだと思われてきました。

「ゆとり世代」はいつから?特徴は?意外と知らないゆとり世代の真実

これまでの「学力低下」論争

ゆとり教育が、生徒たちの学力低下を招いたと主張する人も少なからずいます。実際に現在の子供の学力調査を確かめてみるとどうでしょうか。2012年に実施されたOECDのPISA(OECD加盟国の生徒学習到達度調査)では、2003年、2006年の低下に比べると順位が上がっています。

これまでの「学力低下」論争
(参照元:OECD 生徒の学習到達度調査〜2012年調査国際結果の要約〜|国立教育政策研究所

数学的リテラシーが7位、読解力が4位、科学的リテラシーが4位と総じて世界でもトップクラスの結果となっています。

この結果を「脱ゆとり教育」のおかげだと考える人もいるでしょう。実際に新聞各社は、そういった報道を行っていました。脱ゆとり教育は2011年に始まり、2012年度のPISAを受験した生徒は1996年生まれの高校1年生で、小学校でまさに「ゆとり教育」を受けてきたのです。つまり、「ゆとり教育」自体は学力低下に関係ないと言えるでしょう。責任の所在を明らかにするためだけの「学力低下」論争は、現在の子供たちの学力向上につながらないのが事実です。では、どういった取り組みを行っていけば良いのでしょうか。

文部科学省の改善方策とは

10年以上続く学力調査の現状

国立教育政策研究所の実施する「全国学力・学習状況調査」は、2007年から始まり10年以上行われています。

参照元:「全国学力・学習状況調査」の結果の推移について|東京都

小学校

2009年から2014年までの結果の推移は、国語A(知識)が全国平均69.9点から72.9点へと3点ほど上昇、国語B(活用)の平均点が50.5点から55.5点へ約5点増えたものの下位層の割合が増加して2014年度では46.4%に達しました。算数A(知識)はほぼ横ばい、算数B(活用)もほぼ横ばいに留まっています。

中学校

国語A(知識)は77.0点から79.4点へと上昇しました。国語B(活用)では74.5点から51.0点へと大きく下降し、下位層の割合も47.7%までに増えています。数学A(知識)は62.7点から67.4点で約5点上昇して、下位層の割合も約6%下がりました。数学B(活用)では、56.9点から59.8点とやや上昇し、下位層の割合はほぼ横ばいでした。

小中ともに、国語B(活用)に関しての、下位層の割合が増えてきています。これは、この項目に関して、教育格差が広がりつつあることが考えられます。

文部科学省が打ち出す改善方策

こういった状況を踏まえ、文部科学省ではどのような改善方策を打ち出しているのでしょうか。平成28年6月の「全国的な学力調査に関する専門家会議」では、主に8つの具体的な改善方策の検討を提唱しています。

  1. 学習指導要領改訂を反映した調査問題や質問紙調査項目
  2. 児童生徒の学力の状況をより客観的・多角的に評価できる仕組みの導入
  3. 中学校における英語4技能を測る調査を平成31年度から3年に一度程度実施
  4. 調査結果のより詳細な分析を結果公表時に併せて公表
  5. 経年変化分析調査の継続的、かつ、定期的な実施
  6. 保護者に対する調査の平成29年度実施と継続的、かつ、定期的な実施
  7. 指定都市の調査結果の公表方法の検討
  8. 大学等の研究者による詳細データの活用

個別科目の推移事象より、学寮調査の正確性や評価、実施方法に注力しているようです。調査結果の実質的な改善は、学習指導要領改正によるでしょう。

家庭でできる学力向上の教育

家庭でできる学力向上の教育
文部科学省に頼らず、家庭でできる学力向上のための対策にはどういった方法があるのでしょうか。お金をかけずに、親のちょっとした工夫で実践できる方法をいくつかご紹介します。

勉強しやすい環境づくりからスタート

誰しも周囲の環境に影響を受けます。まずは、自発的に楽しく勉強に取り組める環境づくりをしてあげてはどうでしょうか。この「環境」には、学校や家庭だけでなく、より広い範囲が含まれます。親子や友達、近所関係、スポーツ、スマートフォン、メディアなど子供を取り囲むものすべてがその範囲になるでしょう。

単に有名進学塾に通わせれば良いのかと言えばそうではありません。勉強が苦手な子供が塾にいきなり通っても、勉強スピードや難易度についていけずに落ち込むこともあります。塾に限らず、「できた」「良かった」と子供の存在や良さが認められる環境づくりをすることが大事です。

親の愛情が子供のやる気につながる

子供のやる気の原動力は周囲からの愛情と深く関連しています。それが自己肯定感や自己効力感につながり、「もっと勉強したい」「もっと知りたい」と子供を突き動かすのです。例えば、動物の好きな子供に対して「シマウマってなんで白色と黒色の縞模様なのか教えて?」とあえて聞き、図書館や百科事典で調べる場を与えてあげます。

「サバンナで体をカモフラージュして守るため」「群れをなして外敵から逃げやすくするため」といったことを調べて話してくれた際には、「ありがとう! よく教えてくれたね」と感謝して褒めてあげましょう。親から褒められる経験は、子供の自信につながります。子供の成長を一緒に楽しんで、教育に参加してみると良いでしょう。

子供の夢や未来を信じてあげよう

親は子供の可能性を心から信じているでしょうか。「どうせ、うちの子供にはできない」と親が決めつけてしまっていると、子供の可能性を引き出せません。現状がどうであれ、子供は長い人生の間に、いくらでも成長していくことができます。子供の夢を潰してしまうことなく、子供にとって1番の理解者かつ応援者になってあげましょう。

終わりに

子供の学力向上のために、学校や国に頼らず、家庭で実践できることを始めてみましょう。何万円、何十万円とお金をかけなくとも、子供に寄り添った教育をするだけで子供の学習への姿勢を変えられるかもしれません。

参考
全国的な学力調査の今後の改善方策について(まとめ) |文部科学省
OECD 生徒の学習到達度調査〜2012年調査国際結果の要約〜|国立教育政策研究所
「学力低下」論争と「ゆとり」教育を検証する|nippon.com
「ゆとり世代」学力低下はウソだった~大人たちの根拠なき差別に「ノー」を!|現代ビジネス
子どもの学力を下げる親、上げる親|All About
子どもの学力を向上させるために必要なことはこれだ!|子育ての達人

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okamoto

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