赤ちゃんの能力を引き出す「寄り添う」新生児教育 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

赤ちゃんの脳の育ち方

では、人間の脳はどのような仕組みになっていて、どのように能力を獲得していくのでしょうか。

安心しないと考えられない人間の脳

人間の脳には、生まれたときから備わっている「古い脳(古脳)」と、のちに進化した「新しい脳(新脳)」があります。古脳は、呼吸、睡眠、食欲など生きるために最低限必要な機能や、喜び、怒り、直観などの気持ちや本能をコントロールしています。新脳は、高度な知的活動や、こまやかな手指の動きを担っています。人間の新脳は、ほかの動物と比べても特に大きく、人間らしい活動の源となっています。

人間は、危険や不安を感じると動物的な古脳が活性化され、身を守るために反応します。そのとき、新脳までエネルギーが届かないため、いわば思考停止の状態になります。思考能力をしっかりと働かせるためには、まず古脳が安全と安心を十分に感じて、リラックスしている必要があります。

新生児教育を行う場合も、赤ちゃんがお父さんやお母さんの愛情をたっぷりと感じ、安心できる環境を作ることが大切です。

生まれたときには完成している赤ちゃんの脳

赤ちゃんの脳は、生まれたときにはすでに大人の脳とほぼ同じ形をしています。東京大学大学院教育学研究科の多賀厳太郎教授によると、赤ちゃんの脳は何にでも対応できる万全の準備をしていて、能力を獲得していくにつれ、いらない部分をそぎ落としていくといいます。

では、どのように能力を獲得していくのでしょうか。

自分で発見することで能力を獲得する

多賀教授の研究によると、赤ちゃんは言語の違いや、周りにあるものと自分の関係など、今まで考えられていたよりはるかに高度なことを認識していることが分かりました。

例えば、自分でものをつかむことがまだできない赤ちゃんに、モービルと赤ちゃんをつなぐ特別な仕掛けを作ります。すると、赤ちゃんは自分でモービルを動かすことができることに気づき、モービルをなんとか動かそうとします。何度も繰り返しているうちに、赤ちゃんは自分の動きを利用してモービルを動かす方法を「発見」します。赤ちゃんは自分で経験することで能力を獲得していくのです。

周りの大人は、赤ちゃんが自分で育とうとする力を信じ、サポートをしてあげてください。まずは赤ちゃんをしっかりと観察し、赤ちゃんの気持ちをくみ取ります。トップダウンの新生児教育ではなく、大人が赤ちゃんに寄り添う新生児教育は、赤ちゃんにとって、お父さんとお母さんの愛をたっぷりと感じられる幸せな時間になります。

では、具体的にどのような手法が有効であるのか見てみましょう。