「心も体もすこやかに育ってほしい」……自分の子供に対して、そんな願いを持つ親は多いと思います。健康的な体は、運動させたり、バランスの良い食事、規則正しい生活リズムで育むことができます。一方、子供の「心」はどのように育っていくのでしょうか。今回は実際に子供にどのような「心の教育」が行われているか、また心の教育をするために家庭でもできる3つのポイントについてご紹介します。
もくじ
幼児期に行われる「心の教育」とは
実は日本において「心の教育」はすでに幼児期から始まっているのです。文部科学省が出している「幼稚園教育要領」の中で、幼稚園に通う子供たちに対する心の教育は、以下の5つの観点から行うと明記されています。
健康
まずは「健康」です。健康と聞くと「それって体のことでしょ?」と思われる方も多いかもしれません。しかし幼稚園教育要領の中では、以下のように記載されています。
心と体の健康は、相互に密接な関連があるものであることを踏まえ、幼児が教師や他の幼児との温かい触れ合いの中で自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として、しなやかな心と体の発達を促すこと。
(引用元:幼稚園教育要領 第2章 ねらい及び内容)
体の健やかな発達は心と関係があるものとしています。したがって、遊具や園庭を使っての体を動かす楽しさや食育、基本的な生活習慣の形成なども、幼児期に進むものとされています。
人間関係
多くの子供たちにとって幼稚園というのは、生まれて初めて家族以外の他者と積極的に交わり関わる場所になるはずです。お友達をはじめ、先生や地域の人たちなどとの人間関係がグッと広がっていきます。
幼稚園では子供たちが友達と関わる中で、協力したり、自分の役割や必要性を意識する最初の場です。先生の援助などを受けながら、友達を思いやる心や道徳心、集団の中で生活することでルールなどを認識できるようにしていくことが必要とされています。
また、上記のように家族以外の人たちとの関わりの中で、あらためて親や祖父母などの愛情に気がつき、家族を大切にしようという気持ちを育てていくことにもつなげるねらいがあります。
環境
子供にとって、周囲の環境を知っていき、世界を広げていくことは学びの第一歩目とも言えます。子供がさまざまな環境の中で育っていくことについて、幼稚園教育要領には下記のとおり記載されています。
幼児が、遊びの中で周囲の環境とかかわり、次第に周囲の世界に好奇心を抱き、その意味や操作の仕方に関心をもち、物事の法則性に気付き、自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。特に、他の幼児の考えなどに触れ、新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい、自ら考えようとする気持ちが育つようにすること。
(引用元:幼稚園教育要領 第2章 ねらい及び内容)
家庭の外で自然や動植物に触れることで、物事の法則や生命を大切にする気持ちを養っていくことが、子供にとって大切だとされています。
言葉
幼稚園に入るくらいの年齢になると、子供は次第に話せる語彙が増えていき、言葉で考えや気持ちを表現することも上手になっていきます。
自分の気持ちや考えを表現することだけでなく、相手の話をしっかりと聞いて理解をしたり、また絵本や物語を読み聞かせることで自分の経験と結び付けたり想像をめぐらせるなど、楽しみを味わうことができるようになります。こうして、単に意味を覚えるだけではなく、言葉に対してさまざまなイメージを習得し、相手にどのように伝えていけばよいかを学ぶ時期でもあります。
表現
友達や先生など人との関わりが増えてくると、子供は心が動かされたときや感動をしたことなど、さまざまに気持ちを表現し始めます。
子供が自分の気持ちや感情を表現することを親や先生などの大人が認め、受け入れたり、環境を準備して表現がより深まったり豊かになるのを助けていく必要があります。