観察して、考えて、実行する
「空気が読める=観察力だけでは不十分」というポイントを解説しましたが、状況把握力を養うためには、まず観察力を身につける必要があるのも事実です。自分のことだけに精一杯の状況では、周囲にまで気を配ることは不可能です。まずは「今自分が置かれているのはどんな状況か?」「周囲では何が起こっているか?」を観察してみましょう。
次に、「自分はどういうことができるか?」、「自分ができることの中で、周囲のために役に立つことは何か?」などと考えることが重要です。 このプロセスを経ることで、独善的ではなく、チームに貢献する行動を起こすことができるようになります。
続いて、具体的な実行について。ここで大切なのは、やりっぱなしではなく、「その結果どうなったか」を振り返ること。キャリア教育の現場でも振り返りが実践されていました。社会人向けの研修でも、振り返りを言葉にするという作業は大切にされているそうです。
子供でもできる!「もしも」を想像してみよう
ここまで、大学生や新社会人など若者向けの方法を紹介しました。少し難しそうに感じるかもしれません。ただ、題材さえ身近なものに設定すれば「観察して、考えて、実行する」というステップは子供でも実践できます。
「もしも、こんなことが起こったらどうする?」というシチュエーションをゲーム形式で考えてみるのはいかがでしょうか。
「もしも、1人で留守番しているときに『私はお父さんの知り合いなんです』という人が訪ねてきたら?」というような簡単なことで大丈夫です。防犯・人付き合い・伝言の方法など、さまざまな状況について把握することができます。
また、将来について親と話すことや、家族や先生以外の大人と話をすること、地域の行事に参加することなども有効なようです。どれも自分が未体験のことや、身近で知らない職業などについて「観察する・考える・実行する」というプロセスを踏むことのできる体験です。学校の体験学習以外にも、機会があれば家庭内で取り入れると良いでしょう。
まとめ
学校生活ではもちろん、地域社会や仕事でも発揮される状況把握力。子供たちが身につけることができるようにキャリア教育でも試行錯誤が重ねられています。現在の取り組みだけでは不十分という指摘もありますが、子供の状況把握力は身近なことからも身についていくものです。身の回りのチャンスから、状況把握力向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。
参考
社会人基礎力とは|日経キャリア教育.net
状況把握力|日経キャリア教育.net
<マイコミ社会人レポート>社会人基礎力に関するアンケート調査結果を発表|マイナビ
状況把握力を習得しよう|職能向上委員会
第20回 子どもの将来と教育(2)-現在の仕事の充実感と子ども時代の体験との関係から考える – 研究員リポート – 2010年「子どもの教育を考える」- 教育研究開発センター|ベネッセコーポレーション
〈再録論文〉グループワークゲームを用いた社会人基礎力向上の一評価法|近畿大学学術リポジトリ