「状況把握力」は空気が読めるだけじゃダメ?チームで働く力とは?

「状況把握力」は空気が読めるだけじゃダメ? チームで働く力とは!

ビジネスマンの基礎スキルとして「状況把握力」が注目されています。具体的にはどのような能力で、どういった場面で発揮されるのでしょうか? 子供時代に気をつけるべきことについて詳しく紹介します。

状況把握力とは

状況把握力という概念は「社会人基礎力」を構成する要素です。一般にはあまりなじみのない概念ですが、どのような背景から生まれてきたのでしょうか。

チームで働くための能力

状況把握力は、経済産業省によって提唱されている概念です。大きな分類では、「社会人基礎力」の中に含まれています。

「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。

(引用元:社会人基礎力|経済産業省

状況把握力は、上記の「3つの能力」のうち、「チームで働く力」に含まれます。チームで何かを成し遂げようとすると、メンバーの意見をしっかり聞いたり、自分の意見を分かりやすく発信したりする力が必要です。

そのほかにも、「このチームの中で、自分の役割は何だろう?」と検討し、メンバーと自分の得意・不得意などを見極めて役割分担を考える力も大切です。状況把握能力とは、まさにこういった能力のことです。

状況把握力のある人の特徴

状況把握力がある人には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。

周りの人に配慮できる

状況把握力は、周囲の人や物事と自分との関係性を理解する力です。子供がグループ学習のときに、自分の分担部分が終わってしまったとします。そのときに「やったー!」と言って遊び始めてしまうか、それとも、なかなか進まなくて苦労しているクラスメイトの手伝いをしてあげるか。この違いが状況把握力の有無に関わっています。この場合、チームとしてベストな進め方を考えて、周りの人を手伝うという役割を発見できる力ということになります。

「空気が読めること」ではない?

いわゆる「空気を読む」能力と似ているように感じられますが、空気が読めるのは単なる「観察力」です。観察した上で、具体的に次の行動を思い浮かべ、実行できるのが状況把握力がある人の特徴です。

主体性をさらに発揮できるようになる

誰かに指示されるのを待つのではなく、自ら考えて行動を起こすことのできる「主体性」。状況把握力がある人は、主体性を有効に発揮できます。主体的に動いても、それが周りの人のメリットにならず、かえって迷惑をかける結果になってしまっては本末転倒です。「自分がやりたい」、「自分が良いと思った」という理由だけでなく、周囲に良い影響を与えられるかを考えて主体性を発揮できるのが状況把握力です。

状況把握力はどうやって身につける?

大人になってからも役に立つ状況把握力。どのようにすれば身につくのでしょうか? 教育の現場や日常生活で行われている実践方法を紹介します。

キャリア教育では:チームで問題に取り組む

就職活動をする学生の多くは、「チームワーク力」や「主体性」「コミュニケーション力」など、状況把握力を要した能力が自分に備わっていると考えています。一方、採用する企業側はそれらの能力が不十分だと評価しています。


(参照元:社会人基礎力説明資料(3つの能力/12の能力要素など)(PowerPoint形式:1,005KB)|経済産業省

この認識の差を埋めるべく、教育の現場でもさまざまな取り組みがされています。
ある大学では「アクティブラーニング」の手法を採用したグループワークを行いました。

 

  • 授業についていけない学生に配慮するために、グループ内でのコミュニケーションを元に、取り組みやすい問題から始める
  • アウトプットを容易にするために、授業を振り返るための「内省タイム」を複数回設ける
  • 速さを求めず、ゆっくりで良いということにする

 

以上のことに注意しつつ、グループワークに取り組んだところ、授業終了時には開始前に比べて、学生の能力にそれぞれ向上が確認されたそうです。

能動的な学習には,書く・話す, 発表するなどへの活動の関与と,そこで生じる認知プロセスの外化を伴う

(引用元:涵養性を意識したチーム基盤型学習がコンピテンシーに及ぼす効果|J-STAGE

このとき重要なポイントが上記引用です。「外化」とはアウトプットのことです。グループでの取り組みに関わり、その中で自分が考えたこと、やったことを最終的にきちんと自分の言葉で振り返ることができるようになること。このようにして状況把握力は育ちます。

観察して、考えて、実行する

「空気が読める=観察力だけでは不十分」というポイントを解説しましたが、状況把握力を養うためには、まず観察力を身につける必要があるのも事実です。自分のことだけに精一杯の状況では、周囲にまで気を配ることは不可能です。まずは「今自分が置かれているのはどんな状況か?」「周囲では何が起こっているか?」を観察してみましょう。

次に、「自分はどういうことができるか?」、「自分ができることの中で、周囲のために役に立つことは何か?」などと考えることが重要です。 このプロセスを経ることで、独善的ではなく、チームに貢献する行動を起こすことができるようになります。

続いて、具体的な実行について。ここで大切なのは、やりっぱなしではなく、「その結果どうなったか」を振り返ること。キャリア教育の現場でも振り返りが実践されていました。社会人向けの研修でも、振り返りを言葉にするという作業は大切にされているそうです。

子供でもできる!「もしも」を想像してみよう

ここまで、大学生や新社会人など若者向けの方法を紹介しました。少し難しそうに感じるかもしれません。ただ、題材さえ身近なものに設定すれば「観察して、考えて、実行する」というステップは子供でも実践できます。

「もしも、こんなことが起こったらどうする?」というシチュエーションをゲーム形式で考えてみるのはいかがでしょうか。

「もしも、1人で留守番しているときに『私はお父さんの知り合いなんです』という人が訪ねてきたら?」というような簡単なことで大丈夫です。防犯・人付き合い・伝言の方法など、さまざまな状況について把握することができます。

また、将来について親と話すことや、家族や先生以外の大人と話をすること、地域の行事に参加することなども有効なようです。どれも自分が未体験のことや、身近で知らない職業などについて「観察する・考える・実行する」というプロセスを踏むことのできる体験です。学校の体験学習以外にも、機会があれば家庭内で取り入れると良いでしょう。

まとめ

まとめ
学校生活ではもちろん、地域社会や仕事でも発揮される状況把握力。子供たちが身につけることができるようにキャリア教育でも試行錯誤が重ねられています。現在の取り組みだけでは不十分という指摘もありますが、子供の状況把握力は身近なことからも身についていくものです。身の回りのチャンスから、状況把握力向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考
社会人基礎力とは|日経キャリア教育.net
状況把握力|日経キャリア教育.net
<マイコミ社会人レポート>社会人基礎力に関するアンケート調査結果を発表|マイナビ
社会人基礎力養成研修(経済産業省「社会人基礎力」対応)|キャリア・ブレーン
状況把握力を習得しよう|職能向上委員会
第20回 子どもの将来と教育(2)-現在の仕事の充実感と子ども時代の体験との関係から考える – 研究員リポート – 2010年「子どもの教育を考える」- 教育研究開発センター|ベネッセコーポレーション
〈再録論文〉グループワークゲームを用いた社会人基礎力向上の一評価法|近畿大学学術リポジトリ

この記事をかいた人

akahoshitomoka

piggiesagogoクロシェター・ライター。 オリジナルの編み物作品の作り方を販売しながらライターもしています。守備範囲はハンドメイドから不動産まで。三浦半島が好きです。