子供の体力が低下するとどんな悪影響が起こる?
子供の体力が低下してしまった場合、どのような悪影響が起こるのでしょうか? 今回は考えられる悪影響を3つご紹介します。
子供の心身に病気をもたらす可能性がある
体を動かすことが少なくなってしまうと、体に脂肪がつきやすくなってしまいます。その結果、肥満体型になってしまう恐れがあります。
肥満体型が及ぼす影響について、文部科学省では以下のように述べています。
近年の子どもの肥満の増加により、肥満に伴う高血圧や高脂血症などが危惧されている。このことは、さらに、将来の糖尿病や心臓病などの生活習慣病につながる危険性を有しており憂慮される。
(引用元:1 子どもの体力の現状と将来への影響|文部科学省)
肥満が子供にもたらす悪影響の中には、高血圧や生活習慣病などの病気にかかる確率を高めてしまうというリスクがあるのです。また体を動かさないことで、ストレスをため込んでしまう子供もいるかもしれません。「テレビゲームの方が楽しいから」と自宅遊びばかりをしていると、肥満により心身の病気を誘発してしまう可能性があるでしょう。
社会の中で、活力に満ちた人間が減ってしまう
現代の子供たちは、将来の日本を担っていく存在です。そんな子供たちの体力が低下することで懸念される影響は、社会全体にも及ぶと考えられています。
文部科学省では、子供たちの体力低下が社会へもたらす影響について以下のように述べています。
子どもの体力の低下は、将来的に国民全体の体力低下につながり、生活習慣病の増加やストレスに対する抵抗力の低下など、心身の健康に不安を抱える人々が増え、社会全体の活力が失われる事態が危惧される。
(引用元:1 子どもの体力の現状と将来への影響|文部科学省)
体力が低下してしまう子供の数が増えるほど、社会全体で活力が失われていってしまう可能性があるのです。我が子の体力低下は我が子だけの問題ではなく、日本全体の未来に影響を与える恐れがあるでしょう。
ふれあいや直接的なやりとりが苦手になってしまう
友達と一緒に体を動かす機会が減ってしまうと、誰かとふれあいながら遊ぶという経験ができる機会も減ってしまいます。そのため直接的なコミュニケーションが苦手になってしまう可能性もあるでしょう。
普段からオンライン上などでの間接的なやりとりに慣れていると、対面でやりとりしようとする意思が芽生えなくなってしまうかもしれません。すると、直接的な対話がさらに苦手になってしまう恐れがあります。クラス替えや進学、就職など新たな世界へ飛び込む際には、人一倍精神的に負担を感じてしまう可能性があるでしょう。
【2018年最新データ】子供の体力テストの結果
実際の子供たちの体力の現状はどうなっているのでしょうか。今回は2018年にスポーツ庁によって発表された全国体力・運動能力、運動習慣等調査をもとに最新の子供の体力データをご紹介します。
女子児童・生徒の体力は向上傾向にある!
小学生の女子児童と、中学生の女子生徒の体力合計点の経年変化を見てみましょう。スポーツ庁の発表によると、2008〜2017年度の経年変化は以下のようになっています。
(引用元:全国体力・運動能力、運動習慣等調査 結果報告書|スポーツ庁)
子供の体力が低下していると叫ばれてはいるものの、2017年度の女子児童・生徒の結果はこの10年間の中で最も良い結果となっていることが分かります。
男子児童・生徒の体力も過去数年で高い結果に
男子児童・生徒の結果も見てみましょう。スポーツ庁の発表によると、2008〜2017年度の男子児童・生徒の体力合計点の経年変化は以下のようになっています。
(引用元:全国体力・運動能力、運動習慣等調査 結果報告書|スポーツ庁)
男子児童・生徒どちらについても、この10年間で2番目に高い点数を記録していることが分かります。最も高い得点とはなりませんでしたが、少なくとも合計点は前年度の成績を維持、または上昇していることが分かります。
子供の体力は親世代と比較すると低下している
過去10年間の中では、男女ともに体力が回復しているように見えるかもしれません。しかしさらに上の世代の結果と比較してみると、体力低下の現状がより明らかになります。
文部科学省では1975年以降の持久走の結果について、以下のような年次推移グラフを発表しています。
(引用元:1 子どもの体力の現状と将来への影響|文部科学省)
直近のデータを見るだけでは、子供の体力は回復しているように見えます。しかし長い期間で見ると、緩やかに運動能力が低下していることが分かります。