なぜ交渉力が必要なのか?
交渉力を身につけておくことで、自分とまったく違う価値観を持つ人と理解し合えるようになります。話し合いを重ねることで、相手の想いや考えを理解・把握することができ、良好な人間関係を保つことはもちろん、新しいビジネスのきっかけにもなるのです。
誰もが自分の意見や考えに賛同し、提案を承諾してくれるという状況はそうありません。むしろ、自分と正反対の意見を持つ人を説得するシーンの方が圧倒的に多いでしょう。
筑波大学出身、人材育成や組織改革のコンサルティングなどを専門とするアクセンチュア・マネジング・ディレクターの本徳亜矢子さんによると、学生時代に専攻していた文化人類学(クジラ研究)の授業にて交渉力が鍛えられたと、当時の様子を以下のように振り返っています。
一般的なフィールドワークはまず、その地域の世話役の方を探し出してあいさつに行き、調査の趣旨を説明した上で、詳しい話を聞かせてくれそうな人を紹介してほしいとお願いします。
スムーズに話を聞けることもありますが、それは珍しいケース。たいていはまず断られます。20歳前後のよそ者がいきなり来て、根掘り葉掘り話を聞かせろとか、昔の書物を見せろとか、写真を撮らせろとか言われたら、まるで自分の家に土足で上がられるような気分になるのも当然です。また、昔のことを知っているのはだいたいお年寄りなので、体調がすぐれず、話をするのを面倒くさがる人も多い。
でも、こちらも簡単に引き下がるわけにはいかないので、時間をかけて粘り強く交渉します。大学や教授は、助け舟は出してくれません。自分たちで現状打破しなければならない。とにかく、どうやったらコミュニティーに受け入れてもらえるか。これがフィールドワークの最初の大きな難関でした。
(引用元:クジラ研究で鍛えた交渉力 凄腕コンサルの筑波大時代 本徳亜矢子アクセンチュア・マネジング・ディレクターが語る(上)|NIKKEI STYLE)
交渉力の重要性とメリット
交渉力を鍛えることで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
自分の理想を形にしやすくなる
物事の考え方、価値観、仕事へのスタンス、人生観が違う人とも、お互いを理解し合うことができます。ビジネスにおいては、自分1人だけでは実現不可能なことも、周囲の協力を得ることで実現できるのです。ビジネスチャンスをものにし、自分の思い描いたとおりに話を進めるためには、相手の協力や理解を得る交渉力が必要不可欠です。
物事をスムーズに進めることができる
新規プロジェクトや社内の横断プロジェクトも、周囲の協力を仰ぐことでスムーズに進められるようになります。「◯◯を実現するためには◯◯を組み込む必要がある。そのためにはプラスで◯◯万円の予算が必要」といった上司への予算交渉も必要です。
ビジネスチャンスに恵まれやすくなる
ビジネスシーンでは、社内の他部署の従業員のみならず、社外のクライアントと接する機会も多くなります。営業職は、自社の製品を相手の会社に導入してもらえることで営業実績が上がります。
社内での評価も上がり、新規ビジネス参入を担当したり、他部署のエリアマネージャーになったりといったビジネスチャンスやスキルアップにもつながります。