体だけじゃない?! 子供の心の柔軟性を育てよう ( 3 )

頭の柔軟性を高めるために、大人が気をつけたいこと

それでは、子供が柔軟性を持つために、大人はどのようなことに気をつければいいのでしょうか。

子供のうちから取り組むことが大切!

柔軟性のある・なしは、大学生から大人になっていくタイミングで、人生の進路に大きな影響を与えそうだということが分かりました。それでは、柔軟性はある程度大きくなってから身につけるようにトレーニングすればいいのでしょうか?

最近では、小学校などの早い段階から教育の中にディスカッションが取り入れられるようになっています。これも柔軟性を身につけるためのトレーニングの1つ。子供のうちから柔軟性のトレーニングをすることは教育上意味があると考えられています。

ディスカッションでは、たくさんの意見を聞くことになります。そのとき、心の中で「自分の意見が正しいと思っていたけれども、あの意見の言いたいことも分かる。どうしよう?」という葛藤が生まれます。他の人の意見によって、当然だと思っていた自分の意見が、たくさんある中の1つにしかすぎないことに気がつくのです。

このことが、心も体も発達段階にある子供たちにとって、大きな成長を促すと考えられています。こういった体験は子供の視野を広げ、さまざまな意見を調整して合意できるところを協力して探すという柔軟性を生みます。

ある研究では、小学校6年生のクラスで実際にグループディスカッションをしてもらいました。そうすると、他の人の意見を取り入れられたグループと、取り入れられずに平行線のまま終わったグループに別れたそうです。他の人の意見を取り入れてグループとしてまとまった議論をするためには、以下の2つのことが重要だと考えられます。

1 メンバー間に互いの意見を尊重し、協同的に取り組もうとする討論への構えがあること
2 討論の展開を意識し、協力して推進しようとする態度と技能を身に付けていること

(引用元:小学校段階における討論学習の必要性の再検討――認知面と心理面への影響の分析を通して――Re-thinking the Importance of Discussion for Learning in Primary School: Analyze the influence to cognitive and affective dimensions「国語科教育 83(0), 15-23, 2019」|CiNii

つまり、「とにかく自分の意見を聞いてほしい!」という強い自己主張や、「正しい結果になるなら、反対意見はどうでもいい」という硬直化した姿勢のままだと、柔軟性は身につかず、ディスカッションはうまくいきません。子供のうちから、他の人を尊重し、まわりと協力して結果を出そうというチームワーク思考が必要なようです。

きちんと話し合い、意見を聞く習慣をつけよう

成長途中の子供たちに、「人の意見を尊重しましょう」「周囲と協力して物事を進めましょう」とだけ言ってもなかなかうまくいかないものです。上記の研究では、クラスのディスカッションでは先生の役割がとても大切だと書かれていました。

ディスカッションが終わった後で、議論はどんなふうに進んでいったか? どういう発言が、みんなの考えを深めることができたか? などという振り返りをします。振り返ることで、ディスカッションの途中では議論に夢中になっていて気づかなかったことが分かります。

学校の授業としてやる分には、きちんとしたディスカッションを行うことはそこまで難しくありません。しかし、日常生活では「今からディスカッションを始めましょう」というふうに議論をすることはほとんどないと考えられます。普通は、ちょっとした命令口調や、意見の食い違いから言い合いになったりするものです。難しいのはこの「言い合い」という状態。子供にとっては、言い合いになってしまった場面で柔軟性を身につけるのは難しいそうです。

小学生の場合、相手との間に情意的・社会的な壁を築いてしまい、「攻撃的」や「心配」といった感情を高めることにつながる可能性がある。

(引用元:小学校段階における討論学習の必要性の再検討――認知面と心理面への影響の分析を通して――Re-thinking the Importance of Discussion for Learning in Primary School: Analyze the influence to cognitive and affective dimensions「国語科教育 83(0), 15-23, 2019」|CiNii

大切なのは、まず言い合いに発展させないこと。自分と違う意見に出会ったら、否定するのではなく「なぜそう考えるの?」と聞き、相手を理解しようという姿勢が必要です。子供が自発的にするのは難しそうですが、大人がまず実践してあげれば、子供もそのやり方を真似できます。日常生活の中から、お互いの意見を尊重するという姿勢を育てることが、柔軟性を高めることにつながります。

まとめ:しなやかに生きていくために

まとめ:しなやかに生きていくために
現代は変化が大きい時代です。「変化に対応するために、グローバルな人材に育てましょう」というキャッチフレーズを耳にすることもあります。ただ、グローバルな人材と言っても、英語が得意であればそれでいいわけではありません。多様性に富み、変化する社会の中で生きていくには、自分で自分の道を切り開くような確信・積極性のほかに、さまざまな価値観を尊重する柔軟性が必要です。

自分の意見をはっきり持つことだけでなく、他の人にも同じように譲れない考え方があるのだ、ということを理解し、お互いを尊重する柔軟性。生きていく中で、基本のスキルと言えそうです。まずはお互いの話をしっかり聞くところから。日常生活でも始められる柔軟性のトレーニング、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

参考
「柔軟性がある人」と「柔軟性がない人」と、その他4つのパターン|Yohoo! ニュース個人
柔軟性の意味と柔軟性のある人・ない人の特徴 なるための方法|マナラボ
家庭と仕事の両立を模索する「Z世代」男子|毎日新聞
グローバル人材とは何か : 政府等による定義と新聞報道にみる功罪「千葉大学人文公共学研究論集 = Journal of Studies on Humanities and Public Affairs of Chiba University 36巻」|千葉大学学術成果リポジトリ

この記事をかいた人

akahoshitomoka

piggiesagogoクロシェター・ライター。 オリジナルの編み物作品の作り方を販売しながらライターもしています。守備範囲はハンドメイドから不動産まで。三浦半島が好きです。