日本はトップクラス?国際基準のTIMSSと苦手な子供の勉強方法 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

日本の理数学力はトップクラス?

TIMSSの国際ランキング

2015年度のTIMSSでの国際ランキングを学年・科目別に見ていきましょう。

「小学校 算数」では、1位シンガポール、2位香港、3位韓国、4位台湾、5位日本。
「小学校 理科」では、1位シンガポール、2位韓国、3位日本、4位ロシア、5位香港。
「中学校 数学」では、1位シンガポール、2位韓国、3位台湾、4位香港、5位日本。
「中学校 理科」では、1位シンガポール、2位日本、3位台湾、4位韓国、5位スロベニア。

ランキングだけで見れば、日本はすべての科目で5位以内にランクインしています。調査は、過去の成績と比較できるように、1995年度の国際平均点を500点に設定して、得点を統計処理しています。日本の平均点は、中学2年生の数学で前回より16点アップ、理科も13点アップしています。小学校4年生は算数が8点、理科が10点、それぞれ上昇。国際ランキングでは、中学2年生の理科が2つランクアップして2位になり、過去最高を更新しています。小学校4年生の理科は1つ上がって3位、小学校4年生と中学2年生の数学は前回と同様の5位でした。
2015年度にテストを受けた小学校4年生が小学校1年生のときから「脱ゆとり教育」で授業時間を増やした学年であり、中学2年生も小学3年生のころから受けています。文部科学省は、「理科の実験など重視した現行指導要領下(脱ゆとり教育)での学習」「2007年度に始めた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の実施」によってもたらされた結果と分析しています。

(参照元:全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)|文部科学省

 

全体の結果を手放しでは喜べない理由

しかしながら、本当にこの結果だけを見て判断して良いのでしょうか。各科目の平均点が上がり、ランクアップしたこと自体は喜ばしいかもしれません。ただ、平均点ではなく各層での分布数ではどうでしょうか。今回、550点未満の層は、これまでより減少しています。それと同時に650点以上の高成績層も増えています。

下位層が減って上位層は増えているため、平均点は上がります。しかし、下位層がいまだに約3割残っているのです。確かに平均点の上昇は望ましいことですが、平均点以下の生徒たちをどうやって引き上げていくのかにも着目せねばなりません。

下位層と上位層に二極化していても平均点は上昇します。実際に日本の小中学生は、学力二極化の傾向があるため、下位層の生徒への対策を求められているのかもしれません。

また、日本の生徒たちは世界トップクラスの学力でありながら、楽しい、得意と思っている子らの割合は国際平均並みか、それ以下なようです。

それでも、問題と同時に行われる科目に対する調査(アンケート)で低かった「算数・数学や理科が楽しい」と答える子供は、各世代で増加傾向にありました。「算数・数学が楽しい」と答えた小学校4年生は、2003年度の65%から、10%上がって75%に、中学2年生は39%から13%上がって52%に達しています。しかしながら、中学2年生は国際平均の71%に比べると、低い結果にとどまっています。

各学校や各授業で、知識の詰め込みではなく、「算数・数学が楽しい」と思えるように授業の質を高めていくことも必要なのではないでしょうか。学んだことが人生や生活の中で役立ち、周りに変化を与えられるという実感が、学習の面白さを引き出してくれるかもしれません。