子供の「優しい心」を育むために親ができる3つのこと

子供の「優しい心」を育むために親ができる3つのこと

自分の子供に「心の優しい人間になってほしい」という願いを持つ親は多いはず。しかし、子供の優しい心はいったいどのようにして育っていくものなのでしょうか。当記事では、子供には「優しい心」がそもそも備わっているのかや、優しい心が育つのを阻害する3つのこと、さらに子供の優しい心を育てるために親ができる3つのことについて解説していきます。

人間の優しい心はどう育つのか?

そもそも人間には元来「優しい心」は備わっているのでしょうか?

人はみんな優しい心を持って生まれてくる

人間は生まれてくるときに誰しも優しい心を持っているという「性善説」と、意地悪な心や気持ちを持っているという「性悪説」といった2つの説があります。しかし、近年の心理学における研究では、人間は生まれながらに優しい心や気持ちを持っているという「性善説」が学説の主流となっています。

1762年に刊行された、フランスの哲学者ジャン=ジャック・ルソーが教育論を小説風に説いた「エミール」には人間が生まれてくるときのことについて下記のように書かれています。

万物をつくる者の手をはなれるときはすべてよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる

(引用元:エミール(上)

エミールの中でルソーは、人間には元々「現状よりも成長していく」ことや、「より良く生きたい」という欲求が備わっているということを肯定しています。また一方でルソーは下記のようにも書いています。

だから本当の教育とは教訓を与えることではなく、訓練させることにある

(引用元:エミール(上)

人間には優しい心やより良く生きようという気持ちが備わっている一方、それだけではなく、子供が育っていくような環境を用意していくことが重要なのです。

人格形成は子供が小さなころから始まっている

子供の人格形成はいったいいつから始まっているのでしょうか?

文部科学省が平成30年に公表した「幼稚園教育要領解説」の中では下記のとおり書かれています。

幼児期の教育は、次の段階の教育に直結することを主たる目標とするものではなく、後伸びする力を養うことを念頭に置いて,将来への見通しをもって、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである。

(引用元:幼稚園教育要領解説

上記のように3〜5歳を受け入れる幼稚園の時期には、すでに人格形成を担う基礎になる部分の育成を始めることの重要性を国が説いています。「まだまだ小さいから、これから成長していくはず」ということではなく、幼児期にはすでに優しい心を含む人格形成が始まっていると考えたほうが良さそうです。

子供の主体性を尊重する

人格形成の大切な基礎を担う幼児期において、親はどのようにして優しい心を育むような教育を行えば良いのでしょうか? 子供の優しい心を育むために親が持ちたい基本的なスタンスは、子供に主体的に行動してもらえるような環境を整えたりサポートすることです。

親があれこれ口や手を出すことで、子供が取り組むこと1つ1つがスムーズに進むことはあるでしょう。しかし、優しい心を含む人格形成の教育において、目指しているのはそこではありません。

子供が親や友達、先生をはじめとする人や、身の回りで起きる物事に対して自ら働きかけて、子供なりに試行錯誤した上で自分の成長に必要なものを得ていく必要があります。

親は子供が主体的に行動したり考えたりしながら活動していけるように、子供にとって必要な人・もの・ことを上手に提示してあげるなどのサポートをしていきます。「ああしなさい」「こうしなさい」と子供に指示を出すのではなく、子供が考えて行動できるようにしてあげることが、子供の優しい心を含めた人格を形成していく上で大切なことなのです。

子供の優しい心を育むのを阻害する3つのこと

親の関わり方によっては、子供の優しい心を育むのを阻害してしまうこともあります。子供の前では控えるべき行動をご紹介します。

親が他人の悪口を言う

まず、親が他人の悪口を言っている姿を目の当たりにすることが挙げられます。「あそこの家の人、すごく態度が悪いのよ」「お父さんって、どうしていつもああなのかしら」など、日々の生活において子供の前で他人の悪口を言ってはいないでしょうか? 

実は子供のころから悪口を聞き続けていると、周囲の人や自分を取り巻いている環境に対して偏見を持ってしまう可能性があります。「男の人なんて……」「近所のあの人は……」と決めつけてしまったり、自分が対峙した訳でもない相手に対して不信感や警戒心を強く持つようになる可能性もあります。

他の子供と比較して自分の子供を褒める

子供を褒めて育てることは人格形成においても良いことだと言えます。しかし、子供を褒める際に他人と比較をして褒めてしまうことはあまり望ましくありません。

例えば、入試などの試験に子供が合格したとします。その子自身の頑張りを褒めるのは良いことですが、「あの家の子は落ちてしまったのね。やっぱりあの子は頭が良くなかったのよ。それに比べてあなたは本当に賢い」など、他人を見下すような話を織り交ぜて子供を持ち上げてしまうと、子供自身も「そうか!自分は他人よりも賢いから合格したんだ」という認識を持ってしまう可能性があります。これでは優しい心に育つのは難しくなるでしょう。

こうした場合、「他人と比較して優秀だよね」という話ではなく、純粋に本人が今まで頑張ってきたことを褒めるようにしましょう。

子供と目を合わせる回数が少ない

子供に「ねえ、お父さん」「ねえ、お母さん」と呼びかけられたとき、きちんと子供の方を向いて、目を合わせて話をするようにしていますか? 「何?」と返事だけして、顔や目線はスマートフォンやテレビの画面に夢中なんてことはないでしょうか?

ちょっとした返事や受け答えをするときに、きちんと子供へ顔や目線を向けていないと、子供は親に自分が「受け入れられている」「ちゃんと受け止めてくれている」という安心感を抱けなくなってしまいます。子供の心が不安定な状態に陥ってしまうと、優しい心を育むことは難しくなります。

子供とコミュニケーションを取るときは、きちんと顔や目線を子供に向けて、笑顔で話を聞いてあげるようにしましょう。

子供の優しい心を育むために親ができる3つのこと

子供の優しい心を育むために親ができる3つのこと
子供に主体性を持たせる中で、優しい心を育むために親が子供に対してしてあげられることにはどんなことがあるでしょうか?

赤ちゃんのころから愛着感情を育てる

子供が赤ちゃんのころから、声をかけたり、笑顔を向けたり、ふれあう時間を多くすることで、家族との愛着関係を築くようにしましょう。

両親をはじめとする家族と深い関係を築くと、赤ちゃんは安心感を得ることができます。愛着感情の深い赤ちゃんは他人に信頼感を持ち、自分以外の人間を信頼することができます。この心が、相手に対して共感する心を育てるのです。相手に対して共感できるということは、相手に対して優しくできる第一歩となるでしょう。

親自身が自分自身にも優しくする

子供の優しい心を育てていくためには、親自身が自分や子供に対して優しく接することが大切です。

例えば、親自身が何か失敗してしまったときに、どのような心の持ちようでいることができるでしょうか? 「たまにはこんなこともある」「ここまでよく頑張ってきた」と自分を許して、自分自身に優しくしてみましょう。そうした親の姿を見て、子供も自分を許すことができるようになります。

また、自分自身を許せるということは、他人の失敗や欠点に対しても同じように寛容な心を持つことができるようになります。子供の優しい心を育むためには、まずは親が自分自身に優しくすることも1つの手です。

子供がやりたいことに共感してあげる

子供が主体的に動くということは、意思を持って「あれをやりたい」などと言ってくるかもしれません。そんなときに親は「まだ小さいんだから無理」とは言わずに、まずは子供がやりたいことに「共感」をしてあげてください。

「あれがやってみたいんだね」「どうすればできると思う?」「こんな風にしたら始めやすいんじゃないかな?」など、子供の気持ちを受け止めて、どうしたら可能になるかを一緒に考えてあげるようにしてください。

終わりに

子供の優しい心を育むのは、幼児期からの関わり方が重要な鍵を握っています。子供が主体性を発揮できるような環境作りを親はしていきましょう。

参考
幼稚園教育要領解説|文部科学省
エミール〈上〉|岩波文庫
子どもの「優しい心」を育てよう。実例に見る“気をつけたい親の言動”|hapimama
優しい心はどのように育つ?|すくコム NHKエデュケーショナル
思いやりのある優しい子供に育てるには?家庭で親ができること|MARCH
注意!親のグチ・悪口が子どもに与えるこわい影響|All About

この記事をかいた人

ニーガタのオーモリ