扁桃体って何?子供への影響と、過活動を抑制する子供への関わり方 - cocoiro(ココイロ) - Page 3

扁桃体の過活動を抑制する子供への関わり方

扁桃体の過活動を抑制する子供への関わり方
子供の扁桃体が興奮・活性化しやすくならないようにするために、親はどのようにして子供に関わっていけば良いのでしょうか。

強制型のしつけはしない

子供のしつけの仕方として、扁桃体に良くない影響を及ぼしてしまうのが強制型のしつけです。強制型のしつけとは、子供に対して何かを禁止したり行動を制限したり、命令口調の言葉が多く、子供に対してトップダウンに指令するようなしつけのタイプを言います。

江戸川大学こどもコミュニケーション研究所顧問でお茶の水女子大学の名誉教授でもある内田伸子が2018年3月16日に発行した論文「学力格差は幼児期から始まるか? ~保育と子育ては子どもの貧困を超える鍵になる~」においても、「脳科学の研究では強制型のしつけをされると記憶力が低下してしまうという証拠が確認されている」とされています。扁桃体でストレス反応が出て緊張や不快な気持ちに子供が陥ってしまうと、記憶を司っている海馬で「失敗した記憶」が蘇ってきてしまい、ほかのことが考えられなくなって頭が真っ白になってしまうのです。

子供に対しては禁止や命令をするのではなく、褒めたり、認めてあげたり、失敗しても励ますようなフォローを多くしましょう。子供に考える余地を与えながらしつけを行うと良いでしょう。これを、強制型のしつけに対して「共有型のしつけ」と言います。

騒いだりはしゃいだりする時間を大切にする

日々の生活の中で、子供が友達や親と大騒ぎしたり、はしゃいで思い切りふざけるような時間も大切に持つようにしましょう。実はこの大騒ぎしたりはしゃいだりしているときも扁桃体は活動しているのですが、その扁桃体におさえをかける「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という脳の部位があります。

たくさん騒いでふざけた後に、食事の時間はきちんとマナーや作法を守ってご飯を食べる、というようなその場その場の「切り替え」をたくさん子供に経験させることで、前頭前野が扁桃体の活動をおさえる力が鍛えられるのです。

いつも静かに大人しくしていれば良い、ということではなく、みんなで騒いだり楽しむ時間も大切にしながら、メリハリをつけることが子供の脳に良い影響を及ぼします。

子供に対しては笑顔で接する

扁桃体は幼児期に身近な人の笑顔や愛情表現を与えることで、ほかの脳の部位との関わりでコントロールができるよう成長していくことが分かっています。

いつも怖い顔や命令口調で喋っているよりも、子供は笑顔で自分のことを見てくれている親を「好き」になり、自分のことを「好き」でいてくれる安心感を感じられます。この、お互いに「好き」という気持ちを持ち、共感している状態を感じる経験が、子供が他人との信頼関係を築いていくことの原点となっています。

怖いお父さん、お母さんよりも、やはり子供にとっては笑顔で前向きな言葉をかけてくれるお父さん、お母さんのほうが良い影響があるようです。

終わりに

扁桃体が子供にどのような影響を及ぼすのか、また過活動によって起こる悪影響と、抑制するために親が子供にどのように関われば良いかをご紹介してきました。

子供のころの親や周りの人の声のかけ方や接し方によって、扁桃体をコントロールできるかどうか、自分の感情をコントロールできるかどうかが変わってきます。ときには厳しい言葉や毅然とした態度でしつけをすることも親の役割かとは思いますが、必要なポイントは見極めて行うことで、子供の脳もきちんと発達していくでしょう。

参考
日本における子供の認知・行動発達に 影響を与える要因の解明|独立行政法人科学技術振興機構
感情はどこから? 実は生存をかけて脳が下した判断|NIKKEI STYLE
大脳辺縁系のおはなし|Akira MAGAZINE
マインドフルネスを理解するための脳科学の基礎【2】感情のコントロールと扁桃体|Mindful Music
虐待で子供の脳にダメージ 3才は海馬、10才は脳梁に|まなナビ
「恐怖する脳、感動する脳」|Neurogenesis
学力格差は幼児期から始まるか? ~保育と子育ては子どもの貧困を超える鍵になる~|江戸川大学こどもコミュニケーション研究紀要
キレる子にしたくない。キレない子にするには?[教えて!親野先生]|ベネッセ教育情報サイト
脳を育てる=心を育てる、キレない子にするための脳の育て方|woman excite
どの子も伸びる共有型しつけのススメ~子育てに「もう遅い」はありません~|福岡女学院大学発達教育学フォーラム記念講演
マインドフルネスで扁桃体をどう説明しますか?
マインドフルネスの瞑想のやり方とは?

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