記憶を司る脳の部位!子供の海馬を鍛えるためにできること - cocoiro(ココイロ) - Page 2

子供の海馬に悪影響を及ぼす因子とは?

親の接し方や関わり方次第で、発達途中の子供の海馬に悪影響を及ぼす可能性もあります。どういったことが子供の海馬の発達を妨げてしまうのでしょうか?

虐待によって海馬はダメージを受ける

親が子供を虐待してしまう傷ましいニュースが時折流れますが、実は幼少期の虐待によって、海馬の発達が妨げられてしまいます。

3才くらいまでは脳が飛躍的に成長する大切な時期であり、虐待は子供の将来に大きな影響を与えてしまうと言われています。また、児童虐待を専門に研究・調査している明治大学の加藤尚子准教授によると、「小さいうちは覚えていないだろう」と3~4歳頃の子供を虐待してしまうと、明確に海馬の発達が遅れることが分かっており、虐待を受けていない子と比べて海馬が小さい傾向があるそうです。

寝る間を惜しんでの勉強は意味がない?

もう1つ、研究で明らかになっているのが海馬の体積と睡眠の関係です。東北大学加齢医学研究所が、5歳から18歳までの健康な子供290人の頭部をMRIを撮影して脳の形態を調べるとともに、アンケートにより生活習慣を調査した「健常小児における海馬体積と睡眠時間の相関」という研究があります。

こちらによると、子供の平日の睡眠時間と海馬の体積に強い関係性が見られました。具体的には、睡眠時間がより長い子供は短い子供に比べて、海馬の体積が大きいのです。「海馬が大きいほうが記憶力が良い」という研究結果は複数あります。したがって、寝る間を惜しんで勉強するよりも、きちんと睡眠時間を取って勉強した方が海馬も発達し、記憶力も良くなるかもしれません。

ただし、この研究ではあくまでも「睡眠時間の長さと海馬の体積の相関関係」が明らかなっただけです。睡眠時間が長すぎると睡眠中に目覚める回数が増えるなど、睡眠の質が下がるという報告もあるため、子供を無理やり長く眠らせることは一概に望ましい訳ではありません。