コミュニティスクールのメリット・デメリット
画期的な制度に思えるコミュニティスクール制度ですが、メリットもあればデメリットもあります。コミュニティスクールを実施している学校以外の人には、メリットとデメリットが見えにくくなっているのが現状です。
そこで、文部科学省が公表している資料を基に、コミュニティスクールのメリットとデメリットについて考えていきます。
保護者や地域住民との関わりが増える
コミュニティスクール制度を導入することによって、学校と保護者や地域住民の関わりを増やすことができます。これは学校運営の透明化という観点から見ても、意味のあることです。実際に、「学校が地域に情報提供を積極的に行うようになった」という報告も出ています。加えて、コミュニティスクールに関わる保護者や地域住民同士の関わりも増やすことができ、地域の活性化にもつなげることができます。また、コミュニティスクールによって顔見知りの住人が増えることで、間接的に地域の防犯にも貢献することができます。
ただし、地域住民全員がコミュニティスクールに直接関与するわけではないので、コミュニティスクールの効果は意識が高い一部の保護者、地域住民に限定されてしまいます。また、コミュニティスクールに対する意欲があっても、それぞれの個人の事情により参加できない人もいるでしょう。これら様々な人にもコミュニティスクールに関わってもらえるように、コミュニティスクールは多様な形で行われることが大切になってきそうです。
コミュニティスクールの権限が大きすぎる
先ほど、コミュニティスクールの3つの機能を述べましたが、特に問題なのが、2つ目の機能です。この「教職員の任用について、意見を述べることができる」という機能によって、地域住民は「教師を選ぶ」ことができるようになります。
この場合、好き嫌いなどの主観的なものさしで意思決定されることが多くなり、この機能はコミュニティスクールに対する権限として大きすぎるのではないかという意見があります。
また、学校が新たな取り組みを行おうとしたとき、コミュニティスクールが学校側と異なる考えを持っていると取り組みの実施を拒否することができます。その場合、コミュニティスクールがない学校の方が意思決定が早くなる可能性があります。
設置されている地域が偏っている
文部科学省の「コミュニティ・スクール導入・推進状況(平成30年4月1日現在)」によると、全国のコミュニティスクールの数は5,432校(平成30年4月1日)となっています。前年度のコミュニティスクールの数3,600校(平成29年4月1日)と比べると、1年で1.5倍も増えており、今後もコミュニティスクールの導入は積極的に進んでいくのではないかと考えられます。
しかし、コミュニティスクールを導入している学校設置者(各都道府県や市区町村)は全体の3割程度と、まだ設置されている地域にかなり偏りがあり、全国どこでも行われている取り組みではありません。特に、義務教育は自ら学校を選べるケースが少なく、コミュニティスクールに参加できるかどうかは居住区に大きく依存しています。つまり、もしもコミュニティスクールを採用している学校に子供を入れたいと思っても、住んでいる地域によっては希望が叶わないこともあるのです。