ディベートで身につく能力
次に、ディベートをとおして養われる能力やスキルについて紹介します。
ロジカルシンキング
まずロジカルシンキング、すなわち論理的思考が身につくと言われています。
ディベートでは、複雑で難しいことを相手に(または審判に)分かるように説明する必要があります。そのためには、物事について自分で考え、情報を分類・整理し、きちんと道筋をとおして相手に伝えるようにします。ディベートはロジカルシンキングの練習・実践と言えます。
自分の意図を相手にわかってもらえるように伝えることができるということは、とても大切なスキルですよね。
クリティカルシンキング
内容をよく吟味して客観的に分析する力をクリティカルシンキング、すなわち批判的思考と言います。
ディベートにおいて、「本当にそうだろうか?」と常に考え、良い結論にたどり着くためにいろいろな可能性を探求することにより、クリティカルシンキングする力が培われます。
クリティカルシンキングとは、決してすべてのことを否定することが目的ではなく、新事実や正しいことを発見するためにそれが正しいかどうか、どうしてそうなのか、などを考えることです。
情報収集・処理能力
ディベートにはかなりの準備が必要です。
議論について、インターネットや本などを使ってできるだけ多くの情報を集めます。そして、集めた情報の中から、自分が必要な情報を判断し、整理することがディベートに勝つための鍵となってくるのです。練習を重ねるごとに、この情報収集・処理能力は高められます。
発信する力
ディベートでは、相手が自分の意図を理解できなかった場合、「分かるように説明できなかったほうが悪い」となります。
相手に自分が伝えたいことを伝える力、すなわち発信する力はとても重要な力です。
ディベートは、短い時間で自分の意図を的確に伝えるための構成力やプレゼン力をつける良い練習になります。
ディベートが今注目されている理由
ディベート甲子園に限らず、ディベートは今さまざまな教育の場で取り入れられていますが、その理由とは何でしょうか?
アクティブラーニングとしてのディベート
ディベートは能動的な学び、すなわちアクティブラーニングの1つです。文部科学省から発表された2020年からの新学習指導要領で挙げられた、学校教育において重視すべき3要素として以下が設定されています。
- 知識・技能
- 思考力・判断力・表現力
- 主体的に学習に取りくむ態度
これらすべてにディベートは直結していると言われています。
先生に言われたことを暗記する従来の学習法より、自分で主体的に調べたり考えたりすることにより学び、それをほかの人に分かりやすく伝え、議論することをとおして学ぶほうがより効果的で定着率も確実に上がります。
まさにディベートは、これから学校などの教育現場でますます活用されるであろう学習方法です。
ディベートを通してグローバル社会に対応
ディベートによって身につく力の1つである発信する力は、グローバル社会に向けて必要とされるコミュニケーション能力です。
- 自分の話や考えを正しく他の人に伝える
- 他の人の意見を正しく理解する
- 他の人の意見や考えの違いに気づく・対応する
これらはディベートに限らず、これからのグローバル社会においても大切です。
ディベートから学ぶことは、相手を批判することではなく、相手の意見を尊重することです。このような姿勢を子供のうちから育てることができると良いでしょう。