「新しいクラスにうまくなじめない」「友達とすぐにけんかをしてしまう」などと、子供も日々多くのストレスにさらされています。大人であれば、休日は趣味に没頭したり、気心の知れた友人と朝まで飲み明かしたり、温泉に入ったり、自分でストレスを処理することができるものですが、子供はそうもいきません。
子供の年齢にもよりますが、まだ小さいうちは自分の感情をうまく理解・表現することが難しいことから、学校での嫌なことやモヤモヤとした感情を抱え込んでしまいやすいのです。ほどよいストレスはときに人を成長させてくれることもありますが、あまりにも大きなストレスを感じると精神的に追い込まれてしまうことも。
愛するわが子が健やかな日常生活を送るためにも、子供の行動に現れるわずかなサインを見逃さず、ストレスを軽減できるように親としてどんなことができるのでしょうか？この記事では、その方法についてストレスマネジメントという観点から見ていきましょう。
もくじ
ストレスマネジメントとは？
「ストレスマネジメント」とは、精神的な負担やストレスを管理して、ストレスから身を守るスキルのこと。自身で自分のストレスと向き合い、対処する事です。また、新人教育や社員のモチベーションコントロールの一環として、上司に必要なマネジメントスキルの1つと考えられています。
ストレスには「快ストレス（eustress）」と「不快ストレス（distress）」の2つの種類があります。「快ストレス（eustress）」は、サッカーや野球の試合のスターティングメンバーに選ばれた、ピアノの発表会があるといったときに感じるポジティブなストレス。「快ストレス（eustress）」で感じるプレッシャーは、自己成長にもつながることもあるのです。
一方の「不快ストレス（distress）」は、新しいクラスになかなかなじめない、友達ができない、練習してもうまくならないといったネガティブなストレス。「不快ストレス（distress）」は日々蓄積されていき、エスカレートすると「学校に行きたくない」「登校時間になってもなかなか起きられない」というように精神的に追い込まれてしまうこともあるのです。
現代社会でストレスマネジメントが求められる理由とは？
学校での友達との関係性、勉強になかなか付いていけない、母親が弟や妹につきっきりで構ってくれない、というように、子供は日々多くのストレスを抱えながら日常生活を送っています。
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 社会環境医学専攻 環境・産業保健学がつづった「ストレスマネジメント～脳科学の日常的ストレスヘの応用」を読んでみると、毎年4月から5月にかけては子供がもっともストレスを感じやすい時期だとしています。
というのも、4月は幼稚園や保育園、小学校の入学や卒業の時期と重なり、新学期がスタートするシーズン。クラス替えはもちろん、四六時中母親と一緒にいた生活から新しい環境に身を置くことになります。そのため、子供は、突然の環境の変化に心がついていけず、「新しい友達ができるか心配」「母親と離れることへの不安」を抱えやすくなるのです。
こうした環境の変化に順応できずストレスを抱えている子供をフォローする1つの対策が、ストレスマネジメントというわけです。人は毎日何らかのストレスを抱えながら生活を送っているため、その日のストレスはその日のうちにすっきりさせておく必要があります。
ストレスは自覚症状がないことも多いことから、自分ではなかなか気づきにくいもの。そのためにも、子供と一緒に生活する両親は、何かいつもと様子が違う、おかしいと感じることを見逃さないよう子供の行動や発言を注意深く観察することが大切です。
政府では、現代社会の問題であるストレスを緩和・未然に防ぐことを目的に、改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」を義務化しました。厚生労働省が発表している「ストレスチェック制度」に関する「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」の主な項目は下記の通りです。
