抽象的思考とは
抽象的思考の定義
抽象的思考力とは、簡単に言えば「いくつかの対象物の共通点を見つけ、1つにまとめること」です。例えば、「ブルドックのブルくん」「ゴールデンレトリーバーのマリアちゃん」の共通点を1つにまとめると、「犬」もしくは「ペットの犬」になります。「りんご」「みかん」「梨」の共通点を1つにまとめると、「果物」になります。いくつかの対象物は、どのような共通点を持っているのか、一階層上の観点でまとめることが抽象的思考につながります。
また、ほかの切り口で考えると、抽象的思考は、「物事の本質を考えること」とも定義されます。例えば、「移民を受け入れる」か「移民を拒否するか」、「消費税を10%に引き上げる」か「消費税の引き上げを凍結する」といった、正解のない問題に対して考え、本質を捉えていくことも抽象的思考につながります。
具体的思考と抽象的思考の違い
具体的思考と抽象的思考の違いを考える上で、先に具体的思考を整理しておきましょう。具体的思考では、5W2Hを用いて物事を明確にします。「4W2H」は、英語の授業で習うものですが、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「How(どうする)」「How Much/Many(いくら、いくつ)」のことです。物事に対して5W2Hを問いかけることで、具体化していくものです。
例えば、「ケーキ屋さんになりたい」という夢を持っている子供に対して、「いつまでになるの?」「どこでお店を開くの?」「何の種類のケーキ?」「どうお店を運営する?」「何人くらいの人にケーキを売りたい?」「そのために、どうしたらいい?」などを問いかけ、具体的に落とし込んでいくのが具体的思考となります。
共通点を1つにまとめる抽象的思考とは異なり、具体的思考は、イメージ段階の物事を具体的に詳しい事柄に落とし込んでいく思考法になります。具体的思考を身につけるメリットは、「頭の中でイメージしている内容が明確にできる」「イメージを達成するための目標やプランが生まれる」「達成するためのモチベーションにつながる」などが挙げられます。子供のふわふわした夢ややりたいことを明確化するのに、具体的思考は役立つでしょう。
抽象的思考を身につけるメリット
抽象的思考を身につけるメリットには、次の4点が挙げられます。まず、「対立した事柄の本質を見抜き、解決策を考えられる」です。例えば、「運動会で組体操をやる」か「組体操を中止する」という対立する問題に対して、「子供の成長」という運動会の本来の目的を踏まえ、本質的にどちらが正しいか正解を導き出していけます。
次に、「物事の目的や理由が明確になり、モチベーションにつながる」ことです。これは、「ケーキ屋さんになりたい」という夢に対して「なぜなりたいのか?」という問いかけをして、「ケーキを食べた人の嬉しいそうな笑顔を見たいから」「自分がケーキを食べるのが好きだから」と理由を明らかにでき、「そのためにケーキ屋さんになりたい!」というモチベーションアップにつながります。
3点目は、「目的を達成するための、手段を判断する力が身につく」です。目的が明確になることで、手段の必要性や優先度を判断できます。例えば、「お客さんを笑顔にするためにケーキ屋さんをする」という本来の目的を見出すことで、「お店の売上計算のために、算数を学んでおいた方がいい」と必要性を判断できたり、「ゲームで遊ぶよりも、算数の勉強を優先しよう」と優先度を判断できるようになります。
最後に、「手段の選択肢を増やせる」ことです。「お客さんを笑顔にする」が目的なのであれば、ケーキ屋さんという手段以外にも選択肢を増やせます。例えば、「保育士」「美容師」「ファッションデザイナー」など、幅広く選択肢を捉えることができます。もし、ケーキ屋さんという選択肢が難しかったとしても、別の手段を通して、結果的に目的を達成できるようになります。