学校生活や就職活動、ビジネスシーンに至るまで、ディベートは多くの人が経験することですが、「ディベートが苦手」という子供もいるかもしれません。日本人とディベートの関係、ディベートに必要な能力、身につく力など、さまざまな視点からディベートについてご紹介します。
もくじ
日本人はディベートが苦手
農耕民族で大切なのは主張より協調
世界の民族は、主に狩猟民族と農耕民族の2種類に分けられます。私たち日本人は、農耕民族にあたります。農耕民族は、河川流域に住み、麦や稲を育てて生活を営んできました。年間を通して作物を育てるため、同じ場所に定住しました。徐々に耕作用の道具ができ、河川の増水や収穫時期を知るために天文学や地政学が発達したのです。
集落でまとまった作物を育てるには、1人で行うよりお互いに協力し合うことが大切です。広大な田んぼに稲を植えるのにも、1人で何日もかけてやるより住民でまとめて作業した方が、効率はいいでしょう。こういった歴史的背景から、周りに主張するより、協調する文化が民族に根づいていきました。
一方の狩猟民族は、森や平原、海に生息する動物や魚を狩って、食料を確保してきました。狩猟民族は、同じ場所に定住せず、小集団で移動しながら生活をしていました。狩猟では、獲物を取れれば食料を確保できますが、取れなければ食料を確保できません。そのため、ほかの小集団が自分たちの縄張りに入って来ないよう主張する風習が根づいてきました。
とにかく自己主張が苦手
このように2つの民族は、食料調達方法の違いから、人間的な気質としても差が生まれてきたのです。日本人は、農耕民族であり、謙虚で和を重んじる国民性から、自己主張をあまり得意としていませんでした。
また、日本が島国で単一民族国家という点も大きいのでしょう。同じ文化や生活背景の下に育ってきた人同士のコミュニケーションでは、論理的に話さなくても話が通じてしまいます。そもそも、相手を説得するという機会が少ないため、自己主張する必要がなかった……という背景があるのかもしれません。
国際レベルで活躍するためにもディベートする力は必要
もちろん「謙虚」「和」「協調」は、日本人を象徴する言葉であり、海外メディアからその気質を評価されるほど、素晴らしい国民性でしょう。しかしながら、国際社会になった今、自己主張することが求められています。
国際社会に立った時、自分と異なる価値観や言語、歴史、文化を持つ他民族といかに議論を発展させ、正しい結論へと導き出せるかが重要になってきます。この力を身につけるために必要なのがディベートです。将来、「海外で活躍したい!」という子供であれば、民族的な風習に根づいていないからこそ、積極的にディベート力を身につけることが大切です。