【非認知能力】将来差がつく?世界で話題の非認知能力の伸ばし方とは - cocoiro(ココイロ)

【非認知能力】将来差がつく?世界で話題の非認知能力の伸ばし方とは

非認知能力という能力をご存知でしょうか? 実はこの非認知能力を伸ばす教育が、世界で話題になっています。非認知能力とはどのような能力なのでしょうか。当記事では非認知能力の内容と、伸ばし方についてご紹介します。

世界中で話題!非認知能力とはどんな能力のこと?

非認知能力とはどのような能力のことでしょうか。白梅学園大学子ども学部教授、同大学院子ども学研究科長の武藤隆教授は、非認知能力に関するインタビューのなかで以下のように説明しています。

IQなどで数値化される認知能力と違って目に見えにくいのですが、「学びに向かう力や姿勢」とも言い表せるでしょう。目標や意欲、興味・関心をもち、粘り強く、仲間と協調して取り組む力や姿勢が中心になるとお考えください。

(引用元:生涯の学びを支える非認知能力をどう育てるか|ベネッセ総合教育研究所

IQ(知能指数)は「IQ120」などのように、知能の度合いを数字で示すものです。計測の方法も比較的普及しており、「この問題が解ければIQ100」とうたわれるようなクイズがテレビで紹介されることがあります。

これに対して非認知能力は、子供の学びの姿勢や性格などを示しています。そのため心の知能指数と言われるEQなどは、非認知能力に近いと言えるでしょう。どちらも学力テストでは測れない能力であり、測定の方法や基準がIQよりも不明確です。

非認知能力が高いと将来の年収に差がつく?

非認知能力を育てることでどのような効果が期待できるのでしょうか。

非認知能力に関する著名な実験の1つに「ペリー就学前プロジェクト」が挙げられます。これはアメリカの経済学者であるジェームズ・ジョセフ・ヘックマンが1962〜1967年に行った実験です。ヘックマンはこの実験を含む数々の活動が認められ、2000年にはノーベル経済学賞を受賞している人物です。

実験の対象者は、アメリカのミシガン州に住む3〜4歳の子供たち123名です。彼らはみんなアフリカ系アメリカ人であり、低所得家庭の子供でした。

プロジェクトの内容は子供たちをプレスクールに通わせ、さらに毎週家庭訪問を行うというものです。その教育は非認知能力に重きをおいており、それらの教育を行った子供たちと、行わなかった子供たちとの間に生まれる差異を調べました。

実験の結果、教育を受けた子供たちはその後に留年や中退をする確率が低く、大学の進学率は高くなりました。そして、大人になった40歳の時点では、教育を受けなかった子供たちよりも年収が高くなっていたのです。

この実験の結果から、IQや学術的な知識を身につけることだけが子供の将来を左右するというわけではないと考えられています。だから、非認知能力を育む教育に注目が集まっているのです。

幼稚園教育でも非認知能力が注目されている!

非認知能力に注目しているのは学者だけではありません。幼稚園の教育においても注目されています。

2018年の2月に文部科学省によって発表された幼稚園教育要領では、幼稚園教育において育みたい資質や能力について以下のように説明しています。

幼稚園教育において育みたい資質・能力として,「知識及び技能の基礎」、「思考力・判断力・表現力等の基礎」、「学びに向かう力、人間性等」の三つを示し、幼稚園教育要領の第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体によって育むことを示した。

(引用元:幼稚園教育要領解説|文部科学省

この資料から、幼稚園教育においても思考力や判断力、学ぼうとすることに注目が集まっていることが分かります。子供の教育に必要とされるのは、豊かな知識を身につけることだけではないのです。