食育基本法の内容について
それでは、改めて食育基本法の主な内容について確認してみましょう。政府は、食育基本法の中で、下記のように述べています。
国民一人一人が「食」について改めて意識を高め、自然の恩恵や「食」に関わる人々の様々な活動への感謝の念や理解を深めつつ、「食」に関して信頼できる情報に基づく適切な判断を行う能力を身に付けることによって、心身の健康を増進する健全な食生活を実践するために、今こそ、家庭、学校、保育所、地域等を中心に、国民運動として、食育の推進に取り組んでいくことが、我々に課せられている課題である。さらに、食育の推進に関する我が国の取組が、海外との交流等を通じて食育に関して国際的に貢献することにつながることも期待される。
(引用元:食育基本法(平成27年改正)|農林水産省)
食に関する知識や見解を深めることは、私たちの生活だけでなく、地域社会や国際社会への貢献につながることも、食育推進の主な目的の1つです。
食育は生きる上での基本
厚生労働省が2017年に発表した「簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.26歳です。しかし、いくら平均寿命が長い日本でも、病気などによる健康寿命には差があるのが現状です。そこで、平均寿命と健康寿命の差を縮めるために必要なのが、生活習慣病の予防です。
栄養バランスを考えた食生活を生涯に渡って送ることが、私たちが生きていく上での基本となり、上記の理由からも食育活動が重要な意味を持つと言えます。
第一条 この法律は、近年における国民の食生活をめぐる環境の変化に伴い、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進することが緊要な課題となっていることにかんがみ、食育に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、食育に関する施策の基本となる事項を定めることにより、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたる健康で文化的な国民の生活と豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成)
(引用元:食育基本法(平成27年改正)|農林水産省)
心身の健康と豊かな人間形成が目的
食育を家庭でも取り入れることにより、私たちの健康につながるだけでなく、人格形成にも影響を及ぼします。食べることを楽しいと感じることができたり、誰かと一緒に食事メニューについて話をしたりするなど、食の大切さを実感できる機会を設けることも、食育活動の主な目的です。
食への感謝を持つことが大切
普段何気なく食べている食材は、農作物を育てている農家の方の存在があってこそです。食への感謝の気持ちを持つことで、好き嫌いせずに食べる子供に成長したり、食べ残しを減らす意識を増やすといった効果が期待できます。当たり前に食事ができる環境にあることを感謝する気持ちを再確認しましょう。
また、子供に食の大切さについて伝えるためには、親や学校のサポートが必要であることも、念頭に置いておきましょう。
第五条 食育は、父母その他の保護者にあっては、家庭が食育において重要な役割を有していることを認識するとともに、子どもの教育、保育等を行う者にあっては、教育、保育等における食育の重要性を十分自覚し、積極的に子どもの食育の推進に関する活動に取り組むこととなるよう、行われなければならない。
(食に関する体験活動と食育推進活動の実践)
(引用元:食育基本法(平成27年改正)|農林水産省)