旅育の子供への効果とは?
旅育では、両親と離れて別々で行動する機会が多くなります。子供は見ず知らずの土地で自分1人で行動せざるを得ないため、当然迷子になってしまうこともあるでしょう。地元の人や通りかかった人に声をかけて目的を遂行しようと努力するため、問題解決能力や社会への適応力が刷り込まれていきます。
事実、日本国際観光学会がおこなった「“旅育”の現状と定義を考える」という調査結果でも、旅行をきっかけに子供の 態度や様子に変化があったと回答している保護者が多くいるのです。
具体的には、旅行・観光への姿勢に関する変化のほか、学習(地理、歴史、 文化、生き物)や遊び、態度や生活態度、 言葉や語学に関して子供の変化を感じているとのこと。
こうした貴重な経験は、保育園や幼稚園の友達との関係性を構築する際や、社会人になって就職したときの糧になるでしょう。
旅育を成功させるためには?
子供にとって価値ある経験をさせてあげるためには、具体的にどんなアプローチを行うべきなのでしょうか? 今回は、旅行ジャーナリストである村田和子さんが提唱している「6つの旅育メソッド」に沿って、旅育の成功ポイントについて考えてみました。
旅の計画・準備は子供に行ってもらう
旅先で行きたい場所や目的地に行くまでの段取りを、すべて子供たちに任せるというもの。「目的地までの行き方は電車かバスか」「最寄り駅やバス停はどこか」「駅やバス停から目的地までは歩いて何分かかるか」「定休日や休館日はいつか」といった点の確認が挙げられます。
準備の段階から子供を関与させることによって、当事者意識や地理や歴史、旅行そのものへの関心を高められます。さらに、親子で話し合って目的地を決めることで、論理的思考が磨かれていくとも言われています。
なぜその場所を選んだのか、どんな魅力があるのか、という相手に説明する能力や意思決定までのスピードも格段にアップするようです。
子供の役割や目標を決め、褒める
「あなたは目的地を決める人」「あなたは目的地までの交通手段を調べて案内する人」というように、子供に役割を与えます。
初めての場合、子供はなかなか自分の思い通りに進めることができず、「なんで自分がこんなことをしなければいけないんだろう」と心が折れそうになってしまうこともあるでしょう。
しかし、子供に役割を与えることが自己肯定感や自己効力感を高める契機となります。そして、子供が自分の目標を成し遂げた際には、たくさん褒めてください。何か1つのことをやり遂げたという成功体験が、忍耐力や集中力の向上につながります。
旅先で家族が別々に過ごす時間を作る
予約体験サイトでは、野菜の収穫体験、皮職人と共に筆箱作り体験、腕時計作り、津軽三味線体験、JAXA筑波宇宙センター見学・体験、稲刈り体験など、子供を対象にしたバリエーション豊かな体験プログラムが用意されています。
子供と両親が、あえて別行動する時間を設け、子供のみで体験プログラムに参加するというものです。子供は自分の両親と同じ、もしくはそれ以上の年齢の大人や初対面の子供と接することで協調性を養うことができます。
思い出を形にして残す
旅行先で撮影した家族や子供の写真は、帰宅後にフォトアルバムやポストカードにするなどして、思い出を形として残しておきましょう。それも両親がするのではなく、子供と一緒に行います。
思い出を振り返ることで、「あんなことがあったね」「このときは○○だったんだよ」と将来的な親子のコミュニケーションが生まれるきっかけになります。