自己肯定感を高める方法は?
とにかく褒める
結果がどうであれ、子供をたくさん褒めてあげてください。小学校のテストが100点満点中70点だったとしてもそれまでのプロセス、取り組んだ姿勢を褒めてあげましょう。なぜなら、人は褒められることで承認欲求が満たされるからです。
そもそも承認欲求とは、人から認められたいという欲求のこと。承認欲求が満たされると、自分は必要とされていると思えたり、他人の評価や周囲の目を気にせず自分を客観的に見られたり、今後の成長を大きく左右するのです。
とはいえ、子供が何かに挑戦したとき、自分の思いどおりにならずに落ち込んでしまうことや、失敗してくじけてしまうこともあります。そっと慰めてあげてあげてください。「どんなときだって私はあなたの味方だよ」と伝え続けることで、子供の中に自然と「愛されている」、「自分は1人じゃない」、「支えてくれる人がそばにいる」、という意識が刷り込まれていきます。
口出ししすぎない・手出ししすぎない
子供が自分で選択、意思決定できる機会を積極的に作りましょう。「今日何を着て学校に行けば良いのか」「宿題はいつまでに済ませれば良いのか」など、わざわざ親が言わなくても自分で考えればわかることは、自分の子供にさせてあげてください。
もちろん、子供の年齢にもよりますが、思考を止めないトレーニングになるのです。子供のやることなすことへの口出しや手出しのしすぎは、子供の自己肯定感を低下させる原因となります。
両親は子供のしつけのために良かれと思って、「お友達の家へのお泊まりはダメ」「習い事はダメ」「夕方◯時以降は◯◯しちゃダメ」「今日は寒いから、これを着て行きなさい」「家に帰ったらうがいと手洗いをしなさい」「勉強してから◯◯しなさい」など、あれこれ口出ししてしまうものです。
最近は、いじめやセクハラという言葉が一般にも定着し社会問題になっているため、子供を心配するあまりすぐに学校に連絡してしまう親も多いのではないでしょうか?
こうした口の出し過ぎによって、やがて子供は「親にやってもらわないと何もできない自分」となってしまい、自己肯定感はみるみる低くなってしまうのです。子供がかわいいあまり心配になる気持ちもわかりますが、ときには厳しく、側で見守りながら「子供と一緒に考える」くらいの気構えでいた方が良いかもしれません。
人と比べない
「◯◯ちゃんだったら……」という言い方は避け、目の前にいる自分の子供と真摯に向き合いましょう。人は人、自分は自分です。人と比べられることで闘争心に火がつき、しゃかりきに頑張る人もいますが、それは自分への自信が根底にあるからです。
経験も少ない、選択の余地もない、自分で考える機会すらない。親が可能性を限定してしまっている状況で、「◯◯ちゃんは……」とほかの子供と比べてしまうと、子供は意気消沈してしまいます。「やっぱり自分は何をやってもダメなんだ」「自分は誰からも必要とされていないんだ」と。
「口数は少ないけれど周りの変化にすぐに気がつける」「思いやりがある」「1つの物事に集中して取り組む」など、気づかないだけで人それぞれ魅力があります。子供のポテンシャルを高めて最大限に引き出すことが、自己肯定感を高める近道です。そのためには、「あなたはあなたのままで良いんだよ」と深い愛情を持って接してあげてください。
家族団らんの時間を大切にする
共働き家庭が増えていることにともない、孤食が深刻な社会問題になっています。1人での寂しい食事は、子供に愛情の飢えを感じさせてしまいます。
家族とリラックスしておしゃべりする一家団らんの時間は、子供にとって自分の話を聞いてもらえる、認められているという認識につながります。「自分はこれでいいんだ」という自己肯定感を養ってくれるのです。自分の居場所を再認識することで心にゆとりが生まれるため、社会に出ても精神的に強いたくましい大人に育っていくでしょう。
また、家族団らんの時間はコミュニケーションの練習の場にもなります。相手の目を見て人の話を聞いたり、話したりする訓練ができるため、「この発言をしたら相手はどう思うか?」を感覚的に体で覚えることができるのです。
読み聞かせにオススメ!子どもの自己肯定感を高める絵本
『おかあちゃんがつくったる』(講談社)
「あれ、こうて」とぼくが言うと、おかあちゃんは「そんなん、つくったる!」と、なんでもミシンで作ってしまう。それが、ちょっとかっこわるい。
あるひ、ぼくは思ってもいないことを口にしてしまった。そして、おかあちゃんは……。
(引用元:おかあちゃんがつくったる|講談社)
「周りと足並みと揃える」「周りと一緒」であることにばかり意識が向きがちな今の時代にぴったりの1冊です。少し切なくて、でも、「おかあちゃん」の明るさや優しさ、力強さが心を温めてくれるハートフルな物語です。
『わたしがすき』(岩崎書店)
『わたしがすき』は、好きなことや好きなものを通して、自分を見つめ直し、自信を持つことの大切さを教えてくれる絵本です。著者も、かつては心に傷があり、だからこそ自己肯定感がどれほど大切かを冒頭でつづっています。
自分のことを大切にした方が良い、人から愛されるためには自分を愛した方が良い。頭では分かっているはずなのに、それがどういうことなのかいまいちピンとこない人も多いのではないでしょうか? 『わたしがすき』は、そんな方にこそおすすめしたい絵本です。
まとめ
子供の自己肯定感を高める上で1番大切なのは、子供の考えを尊重し、思考の自由を奪わないこと。「自分でもできた!」という体験が、自己肯定感をぐんぐん高めてくれるのです。子供の成長を本気で願うのならば「自分で考え、決め、やってみる過程」を大切にしてあげてください。
参考
若者の意識から得られる施策への示唆|平成26年版
日本の子供たちの自己肯定感が低い現状について
自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓(ひら)く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上(教育再生実行会議第十次提言本文)
ミス連発や逆ギレの意外な原因、「自己肯定感」の低さにあった
自己肯定感の高い子は親からどのような声掛けをされているのか?