近年、子どもの想像力や自己肯定感を養うための教育法としてモンテッソーリ教育が注目されています。モンテッソーリ教育では子どもの成長機会を増やすために、『教具(きょうぐ)』と呼ばれる知育玩具を用います。
当記事では、その教具の概要や使い方、おすすめの教具を15個にまとめてご紹介していきます。
もくじ
モンテッソーリ教育の教具とは?
モンテッソーリ教育の教具とは、モンテッソーリ教育を行う際に用いる知育玩具のことです。積み木や糸、文字板、算数棒などさまざまな種類があります。
モンテッソーリ教育の教具がこのような形態となった経緯について、モンテッソーリ教育についての説明も交えながら解説します。
モンテッソーリ教育とは?
日本モンテッソーリ教育綜合研究所の公式サイトではモンテッソーリ教育についてこのように定義がされています。
モンテッソーリ教育は、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。
「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」の存在がモンテッソーリ教育の前提となっています。歩くことを教えなくても、歩こうとしたり、積極的に環境に関わりながら様々な事柄を吸収していったりする姿は、子ども自身が自立に向かって、成長・発達していこうとする姿のあらわれといえます。この内在する力が存分に発揮できる環境と、自由が保障された中で、子どもは自発的に活動を繰り返しながら成長していきます。モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。その目的を達成するために、モンテッソーリは子どもを科学的に観察し、そこからえた事実に基づいて独特の体系を持つ教具を開発するなどして教育法を確立していきました。その教育法の確かさは、現代の大脳生理学、心理学、教育学などの面からも証明されています。
100年以上経った今でも時代や文化の違いを超えて世界中で支持され、現在世界140以上の国にモンテッソーリ実践園が存在しているといわれています。そしてその実践の中から世界をリードする人々が数多く育ってきています。
(引用元:モンテッソーリ教育について|公益財団法人 日本モンテッソーリ教育綜合研究所)
このようにモンテッソーリ教育は、従来の画一的で受動的な教育法とは異なり、子どもの自己教育力や想像力など、子どもが自分で自分を育てる力を大切にしています。
モンテッソーリ教具は一見すると普通の玩具のようにも見えますが、実はモンテッソーリ教育において、子どもが自分自身を育てやすいように設計された玩具になっています。
モンテッソーリが提唱する5つの教育
モンテッソーリ教育において0~3歳の時期は「吸収する精神(無意識)」の時期とされています。人生において最も吸収力が強いこの時期に、社会に適応するために粗大運動の活動・微細運動の活動・日常生活の練習・言語教育・感覚教育・音楽・美術の7つの教育環境を用意します。そして3歳以降は「意識の芽生え」の時期です。0~3歳の時にしっかり吸収したことを、整理・秩序化する時期に当たります。この自己整理を助けるため、モンテッソーリ教育では以下の5つの教育分野を提唱しています。
日常生活の練習
「子どもはできないのではなく、やり方を知らないだけ」という考えの下で子どもたちは日常の様々な場面で出会う活動を実際に行い、自立を目指します。例えば掃除・皿洗い・料理・ぼたんかけなどを自分で進んでできるようにします。
感覚教育
感覚教育は国語・算数・文化教育の基礎であると考えられています。感覚の敏感期を迎えた子どもたちの知性や情緒を伸ばすことを目的に、様々な刺激を与えるようにします。
言語教育
子どもは言葉の敏感期に母語を獲得しますが、語彙や文法の豊かさや正確さは環境に左右されます。また日常生活の練習や感覚教育で培った手や腕を操る能力を生かして知らず知らずのうちに文字を書くこともできるようになります。
算数教育
子どもに現れる数の敏感期で抽象的な算数の概念を得ます。感覚教育からの流れで、まずは数を具体物で表現したものからふれ、無理なく抽象概念を手に入れます。
文化教育
総合学習として、言語・数学以外の幅広い分野を興味に応じて学びます。子どもの好奇心や探求心を伸ばします。
モンテッソーリ教具と普通のおもちゃの違い
モンテッソーリ教具は、教材ではなく「玩具と教材を合わせた教具」です。主な特徴としては、子どもが取り扱いやすいサイズである・子どもの発達段階に合ったものである・ 子どもの知的要求に応えられるように、系統だてた準備がしてある・常に整理整頓され、子どもたちにとって魅力的である、などが挙げられます。モンテッソーリ教育で用いる教具は5つの教育に関連し、子どもの知的好奇心をくすぐるように実用的で面白く、楽しいだけの普通のおもちゃとは異なります。