人が幸せに生きる権利である「人権」。この当然守られるべき権利が侵害され、怒り悲しむ人を思いやるのが人権作文の目的です。当記事では、人権作文の構成を説明した上で、小・中・高校生別に人権作文のネタ選びのコツをご紹介します。また、具体的にどんな内容に仕上げれば良いのかについても解説します。
もくじ
人権作文の3つの基本構成
人権作文は、次の3つの基本構成で書くのがおすすめです。
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人権作文で大切なのは、自分の意見や感情を自分の言葉で表現することです。他人の意見や考えを参考にするのは構いませんが、あたかも自分が経験したり考えたことのように書いてはいけません。
人権作文は、人権問題を理解できる年齢ごとにふさわしいテーマがあります。そこで、小・中・高校生に分けて、書きやすい人権問題のネタと内容を解説します。なお、人権課題は法務省や内閣府のサイトから抜粋しました。
【小学生の人権作文】実体験から感じたことを素直に書こう
小学生が理解し考えを深められるのは、自分や自分の身近な人に起きた人権侵害問題でしょう。小学生の人権作文は、自分もしくは友達や家族に起こった出来事から感情が揺れ動いたさまを素直に書いてみましょう。
【小学生のネタ一覧】自分や自分の身近に起きた出来事から探そう
小学生が直面する人権問題は主に2つあります。それぞれの具体的な内容を見て、経験したことのあるテーマを選んでみてください。
いじめ問題
文部科学省は、いじめの具体的事例を次のように挙げています。下記の中から心当たりのあるテーマを人権作文の題材として選んでみましょう。
冷やかしやからかい,悪口や脅し 文句,嫌なことを言われる。(62.0%)
仲間はずれ,集団による無視をさ れる。(13.9%)
軽くぶつかられたり,遊ぶふりをして叩たたかれたり,蹴られたりする。(23.5%)
ひどくぶつかられたり,叩たたかれたり,蹴られたりする。(5.8%)
金品をたかられる。(1.0%)
金品を隠されたり,盗まれたり,壊 されたり,捨てられたりする。(5.5%)
嫌なことや恥ずかしいこと,危険な ことをされたり,させられたりする。(8.0%)
パソコンや携帯電話等で,ひぼう・ 中傷や嫌なことをされる。(1.1%)
その他(4.4%)
(引用元:平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について|文部科学省、P33(3-7)いじめの態様)
外見差別(ルッキズム)
人権や健康、環境が守られる平和な世界の実現を目指す国際 NGOの一端を担う日本YMCAのブックレットに、ルッキズムの意味が記されています。
「ルッキズム」という用語は「外見にもとづく差別または偏見」であり、「魅力的とされた人が優遇されて有利な立場に置かれると同時に、魅力的でないとされた人が機会の否定を通じて不利な立場に置かれる」とされています。
(引用元:日韓ユース ・ カンファレンス 2018 私の人権のはなし -私たちにとって 「美しさ」 とは何か?-|日本YMCA、P8)
日本YMCAのブックレットに掲載されている多くのルッキズムの具体的事例を読むと、他人事ではないと思われる方が多いのではないでしょうか。
ルッキズムは、アトピー性皮膚炎や円形脱毛症、事故後遺症などの先天性・後天性の病気やけがにより、外見上痕が残った人が標的となることあります。「普通とは違う」という理由で、謂れのない中傷や偏見を受けるのは、まぎれもない人権侵害で許されることではありません。
ルッキズムの標的となった人は、周囲が思っている以上に深く傷つき、生きづらさや苦しみを抱えてしまいます。自分の辛い経験を通して、身近でルッキズムを受けて傷ついている人の悲しみを思いやりましょう。そして、人権侵害を受けた苦しみから解放する術はないか、人権作文を通して考えてみましょう。
参考
【中学生の人権作文】社会問題や他人の体験から考えて書こう
中学生は、徐々に親から離れ、自分で人生経験を積み始める時期です。小学生のころと比べて学習範囲が広くなる分、社会に対する興味が増します。そのため、自分の実体験だけではなく、身近ではない他人に起きたことなどを含め、メディアで知り得たことをテーマに選ぶと良いでしょう。
調べる能力や、得た知識を体系的に整理し考える能力も身についてくる年齢です。そこで、人権侵害が起きたきっかけや、周囲がそれを止められない原因、自分なりの人権侵害防止策など、さまざまな視点からテーマを深掘りしていきましょう。
ただし、本やインターネットのサイト等から他人の意見や考えを引用するときは、著作権を侵害しないように、引用文の直後に引用元を明示するよう注意しましょう。