親はいつだって子供の幸福を考えるものです。「将来苦労しないように、さまざまなことを経験させたい」「子供の可能性や才能を伸ばしてあげたい」と考える人は多いでしょう。そんなときに、選択肢のひとつとして挙がるのが英才教育ですが、英才教育には「危険」「意味がない」などのネガティブな意見もあります。当記事では「英才教育」が良くないとされる理由について、専門家の意見を基に解説し、子供を幸せにする教育について考えていきます。
どうして?英才教育が否定される理由
インターネットでは英才教育に対して、「意味がない」「危険」などの否定的な意見が目立ちます。ここでは専門家の意見を参考に英才教育がなぜ否定されるのかを考えます。
3歳以下の子供に知識の詰め込みは必要ない
脳神経外科専門医の林成之氏によると、子供は3歳までに脳細胞が増え続けますが、0~3歳の子供の脳は「神経回路が十分に発達する時期ではない」としています。そのため、成果を求める早期教育に対しては懐疑的です。
これについてはプロ家庭教師の西村則康氏も同意見のようです。
本当のところ、早期英才教育のほとんどは役にたたないと私は思っています。
(中略)
人間の脳というのは、特別なことは何もしなくても自然に成長していけるだけのプログラミングがきちんと施されています。しかもそれは非常に安定した、強固なものです。
(引用元:早期英才教育のほとんどは間違っている|日経DUAL)
参考
早期教育はNG! 脳神経外科医に聞いた「3歳以下の子どもの“育脳”に本当に必要なこと」|hapimama
コミュニケーション能力が発達しない
人がコミュニケーションをとる際は、「自分の気持ちを伝える力」と「相手の気持ちを理解する力」が必要です。英才教育に取り組む場合、子供は同世代のお友達だけではなく、先生または親などの大人と接する時間が増えます。関わる相手が大人だと、子供は「伝える努力をしなくても察してもらえる」ため、コミニケション能力が発達しにくいと考えられます。
感情や興味の薄い子供になる可能性も
プロ家庭教師の西村則康氏は、早期英才教育で子供に知識を詰め込むことについて、以下のように述べています。
フラッシュカード、速読、右脳教育などを、子どもの意思に関係なく次々と与えられて、楽しむことを知らずに大きくなっていく。それを繰り返していると、本当は楽しいはずの体験をしたり、新しい知識を吸収したりしても、心がまったく波打たない子どもになってしまうのです。直感で物事を捉えることが習慣になってしまって、理解や納得に興味を示さなくなってしまうのです。
(引用元:早期英才教育のほとんどは間違っている|日経DUAL)
過剰な詰め込み教育は、子供にとって「単なる流れ作業」になる恐れがあります。効率よく作業を進めることができても、作業内容を理解し、作業に対する興味が育たなければ、意味があるとは言えないでしょう。
早すぎる挫折は、「燃え尽き症候群」になりやすい
子供向けの運動教室「リトルアスリートクラブ」の代表トレーナーの遠山健太氏は、英才教育の弊害として「燃え尽き症候群」を挙げています。燃え尽き症候群とは、以下のような状態を指します。
- 努力をしても期待した結果が得られなかった場合に感じる欲求不満
- 目標達成後に生じる虚脱感
遠山氏は「早い段階からの英才教育は燃え尽き症候群につながる恐れがある」と警鐘を鳴らしています。
あとは、英才教育の現場というのは、ひとにぎりの成功者がいる一方で、多くの落第者もいるのが現実です。まだまだ可能性のある小さいころに、あまり“挫折感”を味わわせてスポーツの楽しさを奪ってしまうのは、好ましくありません。それよりも、小さいころは遊びやスポーツを楽しんでいろんな体験をさせておくことのほうが大切です。
(引用元:幼児の英才教育は間違いだらけ!?早い教育は体も心もボロボロにする|ママテナ)
参考