英才教育は危険?ダメな理由を徹底解説!子供を幸せにする教育とは? ( 2 )

海外で証明された英才教育の弊害

ボストン大学の元教授で、心理学者のピーター・グレイ博士は、さまざまな研究結果から、「早期英才教育には弊害がある」と発表しました。ここでは、ドイツとアメリカでの調査を基に、グレイ博士の見解をご紹介します。

【ドイツ】長年の調査結果から、幼稚園に「遊び」を多く取り入れる

1970年代にドイツ政府は、「勉強重視の幼稚園」と「遊び中心の幼稚園」のそれぞれに属する子供たちを、長期的に比較調査しました。「子供の教育に勉強は必要である」という認識の下で行われた調査でしたが、結果は以下の通りでした。

  •  初期段階は「勉強重視の幼稚園」の子供の方が、読書・数学の能力が高い
  •  4年生になると「遊び中心の幼稚園」の子供の方が、読書・数学の能力が高く、社会性や感情面の調整も上手

この調査結果を重視したドイツ政府は、幼稚園の保育や指導に「遊び」を多く取り入れるように移行したそうです。

参考

幼児期の英才教育にリスクあり? 「自己中心的な価値観」が結婚や犯罪に影を落とすおそれ|キャリコネニュース

【アメリカ】アメリカでは犯罪者になる確率が約3倍に!

貧困家庭のアフリカ系アメリカ人の子供を対象としたレベッカ・マーコン氏の調査でも、ドイツの幼稚園と同じような結果が出ました。「勉強重視の幼稚園」の子供が「遊び中心の幼稚園」の子供より、初期段階では成績が良いものの、ある段階で逆転したのです。

1967年にデビッド・ウエイカート氏らは、貧困世帯の子供たちを23歳まで追跡調査しました。ウエイカート氏らは、貧困世帯の子供たちを以下の3種類の保育園に分けました。

  1. 遊び中心の保育園
  2. 遊び中心だが、大人とのかかわりがある保育園
  3. 読み書きや算数などの指導に特化した勉強重視の保育園

結果は、これまでの調査同様「勉強重視の保育園」の子供が最初は優位でしたが、すぐに成績面での差はなくなるというものでした。しかし、15歳、23歳時に行った追跡調査では、以下のような事実が判明しました。

  1. 学習面は、①②③いずれの子供たちも大きな差はない
  2. 15歳では、③の子供たちが不正行為を行う確率が、①②の子供たちに対して約2倍
  3. 23歳では、③の子供たちが犯罪者になる確率が、①②の子供たちに対して約3倍

この調査はあくまで「アメリカの貧困地帯の一部の子供」を対象に行ったもので、調査対象は極めて限定的です。しかし、早期に知識を詰め込む教育は必ずしも効果を生み出さないこと、遊びを通した学びで社会性や感情面を育てることの大切さに気付かされます。

参考

Early Academic Training Produces Long-Term Harm|psychologytoday

Peter Gray|BOSTON COLLEGE