「心理教育」という言葉をご存じでしょうか? 教育心理学なら、大学や大学院で学ぶことができますし、発達心理学や認知行動学など教育を学ぶ者にとって聞き覚えのある関連用語もあります。しかし、心理教育は教育心理学とはまったく異なる意味を持つ言葉です。今回の記事では、あまり聞き慣れない心理教育の概要や心理教育の形式、プログラム内容をご紹介します。
もくじ
心理教育ってなに?
早速ですが、心理教育の定義と目的をご紹介します。そもそも心理教育とは何か、心理教育を行うことにどのような意義があるかをご紹介します。
心理教育の定義
心理教育・家庭教室ネットワークのホームページよると、心理教育は下記のように定義されています。
精神障害やエイズなど受容しにくい問題を持つ人たちに、正しい知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝え、病気や障害の結果もたらされる諸問題 ・諸困難に対する対処法を習得してもらう事によって、主体的に療養生活を営めるように援助する方法
(引用元:心理教育とは|心理教育・家庭教室ネットワーク)
つまり、当事者や家族を含めた関係者が、直面している困難について正しく理解し、それを乗り越えることを目的とした心理的な教育であることが分かります。また、精神障害は多くの場合、統合失調症を指します。
心理教育を行う目標と意義
心理教育を行う最終的な目標は、下記の6つに分けられます。
- 対象者が自ら抱えた困難を十分に受け止めることができるように支援すること
- 困難を乗り越える技術を修得すること
- 現実に立ち向かうことができる力量を身につけること
- 困難を解決できるという自信を身につけること
- 自己決定・自己選択の力を身につけること
- リハビリテーションプログラムなどの援助資源を主体的に利用できるようになること
心理教育を行うことで、必要な知識や情報を得るだけではなく、自分らしく生きていくためのエンパワーメントへとつながるのです。つまり、当事者やその家族が自走していくための力や考え方を身につけるサポートをするのが心理教育の意義といえるでしょう。