高校受験を考えている方は、公立高校が第一志望でも、併願校として私立高校を受験することがほとんどではないでしょうか。公立高校と私立高校では、学費に大きく差があるといわれています。高校でかかるお金や、学費の負担を軽減するための補助金制度など、私立高校の費用について詳しく紹介します。
もくじ
高校での費用はいくらかかるのか
そもそも、高校にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。私立高校の費用の平均や、学校教育費の内訳、その他学校外にかかる活動費などについて、詳しく紹介します。
私立高校の費用の平均は?
文部科学省が平成28年4月1日~平成29年3月31日の1年間にかかった高校にかかる費用の調査として、「平成28年度子供の学習費調査」を行ったところ、公立と私立とでは、幼稚園~高校にかけてかかる費用が、私立の学校が2倍以上という結果になっています。
調査結果の概要
1)「学習費総額」は,以下の通りとなった。
公立幼稚園 23万4千円 私立幼稚園 48万2千円
公立小学校 32万2千円 私立小学校 152万8千円
公立中学校 47万9千円 私立中学校 132万7千円
公立高等学校(全日制)45万1千円 私立高等学校(全日制)104万円
公立幼稚園,高等学校(公私立ともに)では前回調査から増加,私立幼稚園は減少。その他の学校種では前回からほぼ横ばい。
(引用元:平成28年度子供の学習費調査の結果について(報道発表資料)|文部科学省,P1)
高校にかかる一年間の費用は、公立高校で45万1千円に対し、私立高校は104万円という結果になっています。104万円には給食費は含まれておらず、学校教育費と学校外活動費の合計額となっています。
学校教育費の内訳は?
高校にかかる学校教育費の主な内訳としては、授業料、修学旅行や遠足などの見学費用、入学金などの学校納付金、学用品などの実習材料費、今日課外活動費、通学費などがあります。私立高校の場合は、特に授業料が高校よりも高く、入学金の学校納付金も公立高校の4倍以上という相場になっています。
給食費は別に費用がかかり、さらに遠方の場合は交通費もかかるなど、私立高校への入学は経済的負担が公立高校よりも大きいことがわかります。
参考
結果の概要-平成28年度子供の学習費調査|文部科学省,p11
学校以外でも活動費がかかる
学校教育費以外でかかる学校外活動費とは、具体的にどのような費用なのでしょうか。私立高校の場合は、家庭教師や学習塾にかかる費用の割合が大きく、参考書代や地域活動費など、大学進学に向けた活動費が公立高校に通う生徒よりも上回っているといいます。中には短期留学など、大学進学に有利になる文化活動を行う場合もあるため、さらなる出費が考えられるでしょう。
私立高校は「高校生等奨学給付金」や「高等学校等就学支援金」の対象
私立高校は公立高校よりも学費などの出費が大きいですが、低所得層向けには「高校生等奨学給付金」の制度が設けられています。この制度では、国が高校の費用にかかる経費の一部を補助することにより、高等学校等における経済的負担の軽減を図り、子供たちが教育の機会を均等に与えられることを目的として制定されました。受給額の一例は、以下となります。
○生活保護受給世帯【全日制等・通信制】
国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万2,300円
私立高等学校等に在学する者:年額5万2,600円○非課税世帯【全日制等】(第一子)
国立・公立高等学校等に在学する者:年額8万2,700円
私立高等学校等に在学する者:年額9万8,500円
(引用元:高校生等奨学給付金|文部科学省)
上記の他に、通信制の学校に対する受給も行っており、生活保護世帯や住民税非課税を対象に、教育費の補助を受けとることができます。返済の必要はありませんが、各都道府県に申し込みをする必要があり、通っている学校や世帯によって給付額が異なるため、事前に問い合わせをするのがいいでしょう。
また、授業料を支援するための、「高等学校等就学支援金」とは異なるため、別々に申し込みをする必要があります。「高等学校等就学支援金」では、以下のように、所得条件が定められています。
- 年収約910万円未満世帯の生徒が対象となる
- 保護者の市町村民税所得割額が30万4,200円未満(平成30年6月支給分まで)
- 保護者の市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額が50万7,000円未満(平成30年7月支給分以降)
参考
公立高校の学校教育費を占めるのは交通費
私立高校は授業料や入学金などが、公立高校よりも大きく上回ると前述しましたが、一方で公立高校にかかる学校教育費は、以下のような内訳となっています。
① 公立高等学校(全日制)の学校教育費は,約27万6千円となっている。この内訳の構成比で最も高いのは,「通学関係費」の28.7%(約7万9千円)であり,次いで「学校納付金等」の18.0%(約4万9千円)となっている。
(引用元:結果の概要-平成28年度子供の学習費調査|文部科学省,p11)
意外にも、公立高校では通学にかかる費用などの通学関係費の割合が高く、学校納付金などの授業料よりも高い割合を占めています。ただし、塾にかかる費用は私立高校よりは下回るものの、大学受験に向けて準備する学生は多いため、学校外活動費にかかる費用は増えてくるでしょう。
初年度は特に費用が大きい
高校にかかる費用の内訳として、授業料、入学料、施設整備費等などがありますが、それぞれの金額は、住んでいる地域によっても相場が異なるといわれています。また、特に注意しなければならないのが、初年度にかかる費用です。高校によっても差がありますが、初年度は学費以外にも制服代や教材費、行事費などが必要となり、このほかにも部活動の費用などがかかる場合があります。運動部や文化部など、道具をそろえるために出費があるため、必要な場合はあらかじめ子供と相談するのがいいでしょう。
学費が払えないとどうなる?
日本は先進国といわれていますが、一方で貧困による教育格差も社会問題の一つとなっています。奨学給付金についての調査を会計検査院が行ったところ、学校が徴収する教育費を支払うことができず、教育費未納を理由に除籍などの処分を受けた生徒がいることも明らかになっています。
未納者に係る生徒について、授業料以外の学校徴収教育費の未納を理由に、当該未納額が支払われるまでの間、出席停止や仮進級となっていたり、卒業証書の授与を保留されたり、高校等から除籍処分を受けたりなどして、現に学業上の不利益が生じている者が、表5のとおり、制度化未実施府県において、26年度5県11校31人、27年度5県12校43人、28年度6県14校50人、29年度8府県23校69人となっていた。
(引用元:高校生等奨学給付金における学校の代理受領による授業料以外の教育費への充当について(平成30年10月22日付け 文部科学大臣宛て)|会計検査院,P7)
学費を滞納してしまうと、退学などの除籍処分を受けるケースが発生しているといいます。奨学金や教育ローンなどを利用して学校へ行く場合もありますが、子供における精神的負担を考えると、学費が高い私立高校への入学には、経済的格差が影響しているといえるでしょう。