中学生になると、理科の授業で本格的な実験に取り組むことも多くなってきます。家庭にある身近なものを使い、興味のある製品をピックアップしてしくみやメカニズムなどを調べることで、理科の分野への関心も高くなります。
今回は、1日で終わる自由研究や、じっくりと時間をかけて調べる自由研究など、おすすめの理科のテーマをご紹介します。
もくじ
身近にあるもので室内でできるテーマ3選
まずは、1日で終わる自由研究のテーマについてご紹介します。コツコツと続けるのが難しいという方や、なるべく時間をかけずに自由研究に取り組みたいという方は、以下に挙げる人気のテーマに取り組んでみてはいかがでしょうか。
牛乳からたんぱく質(チーズ)を作ろう
チーズやバターは主に牛乳から作られていますが、実際に牛乳からチーズを作り、たんぱく質の性質について調べてみましょう。たんぱく質は熱や酸によって性質が変化するというしくみがあります。例えば、茹でることでたんぱく質が固まり「ゆで卵」になったり、牛乳を温めることで表面に薄い膜のようなものができたりするのは、たんぱく質が変化したからです。
このの実験では、酸を加えることでたんぱく質が固まる性質について知ることがテーマとなります。牛乳がなぜチーズになったのかについて、たんぱく質の性質の変化を観察し、まとめてみましょう。
・準備するもの
牛乳(400ml)、鍋、レモン汁(100 ml)、ボウル、ふきん、温度計、水、食塩
・牛乳をカッテージチーズにする方法
1.牛乳400mlを鍋に入れ、焦げないように弱火で温める。
2. 60度まで牛乳を温め、レモン汁100mlを加える。黄色い液体と白っぽい固体に分離したら火を止める。
3.10分ほど置き、白っぽい固体が沈んだら、ふきんを張ったボウルにあけて、こす。
4.水分を切ったら、ふきんに固体を包んだままの状態で水を入れたボウルに入れ、軽く洗う。
5.ふきんに包んだまま軽くしぼり、食塩を加えて完成。
カッテージチーズとは、熟成されていないチーズのことをいい、普段食べているチーズのもと
となるチーズです。使用する牛乳は、カルシウム入りなど牛乳に何らかの成分が入っているとカッテージチーズがうまく作れないため、成分無調整の牛乳を用意しましょう。
参考
【自由研究・化学】牛乳からチーズを作り、タンパク質の性質を調べる(中学生向け) | リセマム)
牛乳からプラスチックを作ってみよう
近年問題となっているプラスチックによる環境問題ですが、「埋めると土にもどるプラスチック」は環境にもやさしいため注目されています。続いては、牛乳からプラスチックを作り、実際に土に埋めて分解されるしくみについての研究をご紹介します。
牛乳に含まれるたんぱく質は、水分の中ではバラバラになって浮かびますが、酢を加えることでたんぱく質が集まり、ねん土のような塊になります。加熱すると固まるというたんぱく質の性質を利用し、電子レンジを使ってプラスチックを作っていきます。
・準備するもの
かき混ぜ棒(スプーンでも可)、牛乳、電子レンジ(500w)、クッキーなどの抜き型、耐熱グラス(2個)、クッキングペーパー、酢、ガーゼ、軍手
・牛乳をプラスチックにする方法
1.沸騰させた牛乳をかき混ぜ、中に塊が見えるまで、酢を1滴ずつ加えていく。
2.空の耐熱グラスの上にガーゼを敷き、1の牛乳から塊をこし取り、ガーゼの上で3分間水洗いする。
3.ガーゼから取り出した塊をクッキングペーパーの上に置き、水気を取る。
4.3を抜き型で型を取って耐熱グラスに入れ、固まるまで電子レンジで何度か加熱する。
この実験では、たんぱく質が熱せられたことにより、脱水して「重合(じゅうごう)」と呼ばれる状態が起こる性質を利用しています。牛乳の成分の9割は水といわれていますが、ほかにたんぱく質や脂肪分、ミネラルなどが含まれています。この実験は、固くなったたんぱく質同士が結びつくことで、プラスチックのようなたんぱく質ができることを証明するものです。
牛乳から作られたプラスチックは「生分解性プラスチック」と呼ばれ、微生物によって分解することができます。自由研究に取り組む時間に余裕がある場合は、でき上がったプラスチックを土の中に埋め、どれくらいの日数で分解されるかについて、調べてみましょう。
参考
【自由研究・化学】牛乳からプラスチックを作ろう(中学生向け) | リセマム
洗剤を使って汚れの落ち方のメカニズムを知る
皿や衣類を洗うときに洗剤を使うと、水洗いよりも汚れが落ちやすいのはなぜなのでしょうか。洗剤の成分の中に「界面活性剤」がありますが、界面活性剤には浸透作用・乳化作用・分散作用の3つの作用があるといわれています。実際に洗剤と水洗いを比較し、この3つの作用について確認してみましょう。
・準備するもの
白い布(綿素材)、毛糸(ウール100%)、洗剤、コショウ、ゴマ油、透明なコップ(6個)、割りばし、水、布切れ
洗剤と水洗いの比較実験
1.洗剤を加えた水(A)と、水だけ(B)のコップを3つずつ用意する。
2.毛糸を、A-1とB-1のコップに入れ、毛糸の様子を観察する。
3.A-2とB-2のコップの中にゴマ油を入れ、割りばしでかき混ぜながら混ざり方を観察する。
4.A-3とB-3のコップに、コショウをひと振り入れ、コショウの広がりを観察する。
5.4のカップのそれぞれに布切れを浸し、コショウの付き方を観察する。
洗剤が入った水と入っていない水をそれぞれ比較し、観察するだけなので、比較的まとめやすい自由研究のテーマといえます。汚れの落ち方や付き方を、イラストなども交えてまとめてみましょう。
参考
【自由研究・化学】洗剤がよごれを落とすメカニズムを知る(中学生向け) | リセマム