端午の節句で食べる伝統料理で有名なのは、柏餅や粽(ちまき)。柏餅や粽の由来、伝統料理のおすすめレシピを5つご紹介します。現代風にアレンジされて、一般家庭でも気軽に作れるレシピばかりです。
もくじ
端午の節句に出す伝統料理とは
端午の節句の食べ物の代表格である柏餅(もち)と粽(ちまき)。主に関東で食べられるのが柏餅、関西で食べられるのが粽です。それぞれの由来や意味についてご紹介します。
関東中心の柏餅
柏餅は、柏の葉に上新粉とくず粉を混ぜ合わせた「しんこ餅」とあんを挟み、柏の葉を二つ折りにしたお菓子。発祥は日本で、寛永年間(1624~1644年)に生まれたようです。柏の葉は、縄文時代から土器の下に敷き、お米を蒸すときに使われていたようです。お米やお餅を香りのいい柏の葉に包んで蒸すのは、生活に根づいた文化でした。
柏の葉には、新芽が出なければ古い葉っぱが落ちないという特徴がありました。人間に例えるなら、「子供が生まれるまで親が死なない」つまり「家系が途絶えない」という考えから、「子孫繫栄」を象徴する縁起物として扱われるようになりました。江戸城の大奥でも柏餅が振る舞われ、参勤交代で全国へと広まっていきました。関東で柏餅が浸透しているのは、発祥の地が大きく関係しています。
ちなみに、柏餅の柏の葉は一般的に食べないものと考えられています。体に害はありませんが、食用として処理されていません。柏の葉を使っているのには、理由があります。香り付け、抗菌作用、保湿効果、手の保護などです。柏の葉は、「オイゲノール」という成分を含み、殺菌作用を持っています。柏の葉で餅をくるむと、乾燥を防いでくれます。
関西中心の粽
粽は、中国から日本に入ってきた食べ物です。今から2300年前の「楚」の時代に、屈原という政治家がいました。屈原は正義感が強く、国民から支持されていた存在。しかし、陰謀によって失脚し、失意の末に川に身を投じます。そんな屈原の死を悲しんだ人々が粽を川に投げ入れたことに由来しています。
しかし、供物は屈原へ届く前に龍に盗まれてしまいます。そこで、龍の苦手な棟樹(れんじゅ)の葉で包み、邪気を払って五色(赤・青・黄・白・黒)の糸でしばって川へ投げると、屈原の元へ無事に届いたそうです。
粽も、災いを避ける効果を持っています。赤・青・黄・白・黒の五色の糸は、子供の無事な成長と魔よけを意味し、鯉のぼりの吹き流しの色ともなっています。ちなみに、江戸で生まれた柏餅は、関西の文化まで浸透せずに、中国から伝わった粽が文化として残っているようです。