「共働きだと幼稚園は通えない」と考える人が多くいます。一般的な幼稚園は昼過ぎまでしか子供を通わせることができず、フルタイムで働いている親としては、両親のサポートなしには物理的に厳しいことが原因だとされます。
ただ、夕方ごろまで延長保育をしている幼稚園もあります。今回の記事では、幼稚園と保育園の違いやメリット・デメリットに焦点を当てて、子供を通わせる選択肢として幼稚園があり得るのか、検討材料にしていただければと思います。
もくじ
幼稚園と保育園の違い
意外とはっきり理解されていないのが幼稚園と保育園の違いです。ここでは主な違いを3つご紹介します。
先生の必要免許状
幼稚園と保育園では、働いている先生の免許が異なります。
幼稚園の先生になるには、高校を卒業した後、文部科学省が認定した機関で幼稚園教諭免許状を取得する必要があります。短期大学や専門学校であれば2年間で取得可能ですが、カリキュラムの内容は幅広く、憲法や英語に加えて、保健体育のような実技があります。
保育園の先生は、保育士資格が必要になります。保育士試験を受けて合格するか保育士の高等教育機関を卒業することで資格を得ることができます。また、保育園は幼稚園と異なり文部科学省の管轄ではなく、厚生労働省の管轄になります。これは、保育園が教育施設ではなく、児童福祉施設に区分されているためです。
保育時間
幼稚園の一般的な保育時間は、朝から昼過ぎまでです。朝8時から9時ごろに園が開き、14時ごろにはお迎えの時間になります。ただし、延長保育を行っている幼稚園では、17時ごろまで幼稚園にいることができる場合もあります。
一方、保育園は、朝から夕方まで通うことができます。一般的には朝7時半ごろから夕方18時半ごろです。保護者がおおむね1ヶ月に120時間以上就労している場合は、最大1日11時間の保育標準時間に該当します。120時間に満たない場合は、最大1日8時間の保育短時間に該当します。それでも、延長保育のない幼稚園よりは保育時間を長めに取っています。
保育料
保育料は、私立幼稚園は設置者が設定。公立幼稚園は自治体が設定します。保育園は、公立幼稚園と同様で自治体が設定しますが、保護者の所得によって保育料が異なります。
文部科学省の全国調査によると、幼稚園の保育料は下のとおりです。
- 私立幼稚園は、318,763円(年間)
- 公立幼稚園は、120,546円(年間)
これには、授業料・遠足修学旅行費・学校納付金・図書教材費・通学関係費などが含まれています。
(参照元:平成28年度子供の学習費調査の結果について|文部科学省,P4)
新宿区の保育園の所得別保育料は下記のとおりです。
- 所得税課税額が1円以上3,000円未満の世帯は、6,700円(月額)
- 所得税課税額が30,000円以上60,000円未満の世帯は、15,400円(月額)
- 所得税課税額が300,000円以上330,000円未満の世帯は、34,200円(月額)
細かく設定されており、所得以外にも保育時間の長さによって保育料が異なります。
(参照元:新宿区における私立認定こども園及び私立幼稚園の保育料に関する規則|新宿区)
厚生労働省の調査によると、1世帯における児童1人あたりの保育園での保育料の平均値は20,491円(月額)とされています。
(参照元:平成24年 地域児童福祉事業等調査の結果|厚生労働省,P7)
これらを加味すると、保育園の保育料は年間で20,491円×12ヶ月=251,292円となり、公立幼稚園と私立幼稚園の中間程度に位置します。ただし、保育料は所得によって大きく変わりますので、あくまで平均値として参考にしてください。