大学の講義をキャンパスの外でも受けられる時代が到来しています。インターネットの台頭により、「学習」のあり方も日に日に姿を変えてきています。日本の子供たちは、本人が学習を望めば、どこにいても学習機会を享受できる環境があるのです。当記事では、学習のあり方を大きく塗り替える可能性を秘めている「MOOC」についてご紹介します。
もくじ
無料オンライン講座のMOOC
MOOCの成り立ちとは
MOOC(ムーク)とは、Massive Open Online Courseの略称で「大規模公開オンライン講座」のことです。MOOCもしくは複数形のCoursesからムークス(MOOCs)と呼ばれています。インターネット環境さえあれば、世界中の誰もが利用でき、大学レベルの高等オンライン講義を受けられます。さらに、コースによってはテストに合格すると、単位取得を証明する修了証を発行しています。
MOOCは、2008年にアメリカでサービスを開始され、2012年ころには世界へと展開されました。現在はヨーロッパやアジアへも広まっています。「教育の民主化革命」とも呼ばれ、国境を越える画期的なサービスとして認知されています。2015年までの総受講者数は、約3,500万人に達しています。
MOOCで提供している講義のほとんどは映像で配信されています。講義の内容は、幅広く、専門性の高いものばかりです。参加大学が、学生向けに実際に行っている講義をオンライン化したものまで配信されているようです。
MOOCで受けられるサービス
MOOCでは、オンライン受講、テスト、(コースにあれば)修了証発行というのが一般的な流れです。講義の回数や頻度は、コースによって異なります。各国発祥のMOOCをいくつかご紹介します。
アメリカ
Udacity(ユダシティ)は、MOOCの先駆者と言われています。2011年1月にサービスを開始して、2016年までに累計400万人が利用しています。Udacityは、プログラミンやコンピューターサイエンスなどの分野に特化。主なユーザー層は、25歳から30歳後半のビジネスマンです。Udacityは、社会人のための教育を行い、受講生の人生を豊かにすることができると伝えています。
Coursera(コーセラ)は、有名なMOOCです。スタンフォード大学の教授2名によって2011年ころに設立されました。Courseraの特徴は、英語の音声映像で、日本語字幕を表示できることです。東京大学とパートナーシップを結んでおり、講義でビックバンからダークエネルギーまで、宇宙の起源に関わる分野のサービスを提供しています。
KhanAcademy(カーンアカデミー)は、大人だけでなく子供向けのコンテンツを豊富にそろえたMOOCです。基本的な算数から、歴史、経済、美術など多岐に渡る分野で学べます。2006年に教育者のサルマン・カーンによって設立されました。
ヨーロッパ
The Open University(オープンユニバーシティ)は、1983年に設立されたイギリス最大規模のオンライン学校です。働きながら受講できるよう、仕事と学業を両立できるプログラムを提供しています。世界25か国とパートナーシップを結んでいます。The Open Universityで取得した学位は、世界各国の学校や団体で認められています。日本事務局があるため、説明会や入学願書に申し込めます。その点では、「学校らしさ」を身近に感じられるでしょう。
Miriada Xは、スペイン語で講義を提供している学習機関です。主要な20コースの受講者数は、少なくとも約5,000人から最も多いと約35,000人に上ります。Miriada Xのように英語だけでなく、各国の母国語で講義を提供するサービスもあるようです。
アジア
中国のMOOC「東西部高校課程共享連盟」は、参加大学の講義を受けた後のテストに合格すると、履修単位として認めてくれます。
日本では、ガッコ(gacco)がNTTドコモと協力して運営を行っています。gaccoは、大学教授による講義を提供しており、修了証も発行してくれます。また、掲示板で受講生や講師とディスカッションできたり、希望者には対面学習を受けられたり、ミートアップも開催しています。
このように各地域において、さまざまなMOOCが展開されているのです。