昨今、話題になっているスポーツ中のガッツポーズ。ガッツポーズに関する議論は、各スポーツ界でなされているようです。子供が習っている武道では、ガッツポーズをどのように扱っているのでしょうか。いくつかご紹介していきます。
もくじ
剣道のガッツポーズは反則負け?
ガッツポーズはダメな剣道
スポーツの試合で勝敗が決定する瞬間、勝者はそれまでの努力や周りの応援もあり、感極まってガッツポーズで喜びを表現するかもしれません。さまざまなスポーツでガッツポーズをするシーンを見る場面があるでしょう。しかし、このガッツポーズをしたことで反則になり、結果が覆ってしまう競技があります。それが剣道です。
剣道は防具を身につけ、竹刀を使って、相手と相対する競技です。1試合3本勝負で行われます。3本勝負は、1試合を3ゲームに分けるのではなく、有効打突を先に2本先取した方の勝ちとなります。有効打突とは、面・小手・胴といった部位を正確かつ十分な気勢、適切な姿勢を維持しながら打突することです。
剣道連盟のまとめている「剣道試合審判規則」では、即失格や退場になってしまう禁止行為がいくつかあります。剣道は礼節を重んじてフェアプレーを尊重することを目的にしています。そのため、審判や相手に対する暴言や非礼な行為、ドーピングや薬物の使用、不正な竹刀や防具の使用が明らかになった際には、即刻失格、退場になってしまうのです。この禁止行為の1つに「ガッツポーズ」があります。ガッツポーズをした選手には、罰則に基づいて反則負けや退場を命じる場合があります。
「礼儀」と「残心」を忘れてはならない
剣道ではなぜガッツポーズを厳しく禁止しているのでしょうか。理由は主に2つあります。先述のとおり、剣道は礼に始まって礼に終わる武道です。ガッツポーズは相手への敬意を忘れた無礼な行為とみなされ、「礼儀」の面での反則行為になってしまいます。
もう1つは「残心」です。剣道では、有効打突の後にもう1度構えなければなりません。真剣の勝負であれば、有効打突を与えたとしても、相手が必ずしも息絶えるとは限りません。もしかしたら、もう一振りする余力があり、油断してガッツポーズした隙に斬られるかもしれません。そのため、有効打突の後に油断するのは命取りです。斬っても相手に対して注意すること、つまり「心を残す」のが残心なのです。この残心を忘れたために、一本後のガッツポーズは反則扱いになるのです。
こういった2点の理由から、剣道ではガッツポーズが反則とみなされています。