剣道のガッツポーズは反則負け?他の武道ではどうなっているの? - cocoiro(ココイロ) - Page 3

剣道以外のガッツポーズ事情

柔道は「なるべく辞めよう」

では、剣道以外の競技では、ガッツポーズに対してどのような評価を下しているのでしょうか。世界各国で盛んに行われている「柔道」は、ガッツポーズを禁止していません。メディアで選手が試合後に喜びを表してガッツポーズする姿を、目にすることも多いでしょう。

ただ、ある大会では日本人選手が相手に勝利したとき、相手が負傷していたにも関わらず、真横でガッツポーズを取りながら試合場を後にしたことで「武士道精神に欠ける」と指摘されたこともありました。全身全霊で掴んだ勝利に感情が出てしまうのは仕方ない、という考え方もありますが、「武士道精神」という観点ではガッツポーズの是非が問われているようです。

ちなみに、柔道では「試合中に無意味な発声や、相手や審判員の人格を無視するような言動をとること」が禁止事項として定められています。ガッツポーズがこちらに該当するとみなされた場合、警告や反則を取られてしまう可能性もあります。

空手道は「失格」扱い

空手道は、剣道よりもガッツポーズに対して厳しいルールを設けています。空手は、流派によって詳しいルールが異なります。「新極真空手道連盟」では、試合後のガッツポーズを禁止しています。ガッツポーズが相手への礼節を欠く行為とみなされているからです。

「判定勝ち」「一本勝ち」「技有り」などの後にガッツポーズをした場合には、「失格負け」になってしまいます。剣道で反則負けや退場を命じる可能性がある、という措置に比べれば厳しい基準です。空手では、ほかの競技に比べ、特に相手への礼節を重んじる傾向が強いのでしょう。

野球では「慎もう」

武道ではありませんが、野球についてはどうでしょうか。平成30年の第100回全国高等学校野球選手権記念大会では、秋田県立金足農業高等学校の吉田輝星投手がマウンド上で見せた刀を抜くようなポーズや、他チームの投手の派手なガッツポーズが注意の対象になりました。

公益財団法人日本高等学校野球連盟(以下、高野連)の審判規則委員会は「高校野球・周知徹底事項」で、「マナーについて」の項目で「喜びを誇示する派手な『ガッツポーズ』などは、相手チームへの不敬、侮辱につながりかねないので慎む」と明記しています。高野連は、ガッツポーズ自体を禁止しているわけではありませんが、過度なパフォーマンスと審判が判断した場合には、注意を受けることもあるとされています。

終わりに

国際的に見ても、日本ほど礼儀正しい民族は、ほかにいないと言われています。例えば、オリンピック招致に際してフリーアナウンサー・滝川クリステルの発した「おもてなし」は、相手に対する思いやりと敬意を持つ日本文化を代表する言葉です。また、英語には「敬語」という概念がありません。私たちが自然に使っている敬語は、まさに日本人が礼儀を重んじてきた証拠の1つです。

今回ご紹介した剣道は、相手に対する礼儀を大切にする競技です。全日本剣道連盟では、剣道の理念として「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である。」と明記しています。これは、単に相手への礼儀だけでなく、礼を正すことで自分自身の心や態度を正して、人間としての成長にもつながることを意味しています。

スポーツにおけるガッツポーズは、これからも議論がなされるかもしれません。今回ご紹介したスポーツ以外で、子供が習っているスポーツがあれば、ガッツポーズの評価について調べてみてはいかがでしょうか。

参考
極真空手道連盟・組手試合規則|フルコンタクトルール
「〇〇道」からみる日本人の特徴|和の大学
ガッツポーズが禁止?剣道のルールから武道を考えてみよう|ベネッセ情報教育サイト
剣道はガッポーズすると反則負けになるんだって!|剣道が大好き
球児のポーズ、どこまでセーフ?|東京新聞

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