何かをしようとすると「イヤ!」、何かをするように言っても「イヤ!」……。イヤイヤ期の子供は何かにつけて反抗的な態度を示します。そんな子供の行動の変化に困り果ててしまう親も多いでしょう。当記事ではイヤイヤ期の子供の行動や気持ち、対処法についてご紹介します。
もくじ
イヤイヤ期はいつから訪れるの?
2歳前後で訪れる子供が多いと言われていますが、イヤイヤ期の時期は人それぞれです。「イヤイヤ研」では前述の「イヤイヤ実態調査」と同時に、「イヤイヤ出現率調査」と題して、全国の親たちへ「現在我が子はイヤイヤ期だと思うか」を問うています。調査の対象は全国の0~5歳児を持つ男女9,250人です。
調査の結果、以下のような回答を得ることができました。
(引用元:「イヤイヤ実態調査」第一弾|乳幼児のイヤイヤ期を研究する「イヤイヤ研」)
1歳6ヶ月〜11ヶ月の子供を持つ親の半数以上が、我が子はいまイヤイヤ期であると回答していることが分かります。1歳前半の22.1%と比較すると数字が大きく伸びており、1歳半を過ぎたあたりからイヤイヤ期に入る子供が増えてくると言えるでしょう。
どのくらいの期間イヤイヤ期が続く?
イヤイヤ期の期間も人それぞれです。先ほどご紹介した月齢別イヤイヤ率では、我が子が今イヤイヤ期であると回答した保護者の数が半数を超えるのは、1歳半〜3歳前半の時期であることが分かります。
個人差はありますが1年半〜2年ほどの期間、イヤイヤ期が続く可能性があるでしょう。
イヤイヤ期のピークはいつ?
同調査で最も我が子が今イヤイヤ期であるとの回答数が多かった月齢は、2歳0ヶ月〜5ヶ月でした。実に77.3%の保護者が、自分の子供はイヤイヤ期の最中であると回答しているのです。
この時期は「魔の2歳」と呼ばれることもあるほど、多くの子供がイヤイヤ期を迎えます。2歳前後の子供が自己主張を始めたら、「あぁ、イヤイヤ期が到来したのだな」と考えてもいいかもしれません。
イヤイヤ期の子供にはこう接する!3つの対応のコツ
それでは、イヤイヤ期の子供にはどのように接すればいいのでしょうか? 今回は対処法として、対応のコツを3つご紹介します。
ダメなことはきっぱりとダメと言う
たとえイヤイヤ期であっても、ダメなことはダメであると、きちんと伝えなければいけないこともあります。例えば友達を叩いてしまったり、おもちゃを投げてしまったりするなどの行動は人を傷つけてしまうかもしれません。
子供が相手の痛みを理解するには、まだ時間がかかるかもしれません。だからと言って「気持ちが分からないから仕方ない」と注意をしないでおくことは避けた方がいいでしょう。
子供の話も聞かずに叱ってしまうと、話を聞いてくれないかもしれません。友達を叩いてしまう際には「どうしたの?」と理由を聞いてあげたり、おもちゃを投げてしまう際には「おもちゃが痛がっているよ」と伝えてあげたりするなどの対応をとってあげましょう。
最初は伝わらないかもしれません。しかし何度も注意を繰り返すことで、子供の態度が変わってくる可能性があります。1度きりの注意では子供は変わらないのだと、根気強く伝えていく必要があるでしょう。
イヤイヤ期には親が怒りすぎてしまうこともありますので、言い過ぎないように注意することも必要です。
叱ることと褒めることの上手なバランスがとれると良いかもしれませんね。
こちらの記事を参考に、改めて叱り方などを意識してみてはいかがでしょうか。
何が「イヤ」なのかを考える
この時期の子供は何に「イヤ」と感じているのか、自分でもよく分かっていない可能性があります。「何でイヤなの?」、「何がイヤなの?」などを聞いてみても、「分かんない」と言ってただ泣き続けてしまう子供もいるでしょう。
そこで、「○○がイヤだったのかな?」、「○○したいのかな?」など、YES・NOで回答できる質問を投げかけてみましょう。思わぬところに子供の不満があることが分かるかもしれません。
何に不満を抱いているのか理由を考えてあげることで、子供の気持ちを整理することができます。理由が分かれば同じ内容でのイヤイヤが起こることを防ぐこともできるでしょう。
また、2歳児ころまでの子供には選択肢を与えて今の状況を整理させるような質問や提案がおすすめです。
3歳児をすぎている場合には「どうしたいの?」と質問を投げかけて自分で考えて解決するきっかけを与えてあげるころも良いかもしれません。
上手な質問と回答を繰り返すことで自発的に行動する子供になることもあります。
親の質問力によって子供が上手にイヤイヤ期を乗り切れるようにサポートしてあげることも良いでしょう。
親子の質問力について、こちらの記事で紹介しています。
ほかのことで注意を引いてみる
イヤイヤが続いてしまう場合、ほかのことで注意を引いてみることも1つの対処法となります。
玉川大学大学院教育学研究科の大豆生田啓友教授はイヤイヤ期の子供への親の対応について、以下のように述べています。
気持ちを切り替える方法として、何をするかを子どもに選ばせてもいいかもしれません。
例えば、「ジュースを飲んでもいいし、おもちゃで遊んでもいいし、どれをやってから乗る?」というように、子ども自身に選ばせるとうまくいくことが多いかと思います。
(引用元:イヤイヤ期、親の対応法は?|すくこむ NHKエデュケーショナル)
大人も何かに行き詰まった際に、気分転換をすることがあります。イヤイヤ期の子供も同様で、イヤイヤから抜け出すための気持ちの切り替え方を学ばせてみるといいでしょう。
また、気持ちの切り替え先を子供に選ばせることで、「自分は今何がしたいのかな?」と考えさせることができます。親にとっても我が子の気持ちを切り替えるために必要なものが分かることで、イヤイヤに困った際の解決策を考えておくことができます。
イヤイヤ期とはどんな時期?
イヤイヤ期とはその名のとおり、子供が何かをする際に「イヤ!」と反抗しがちになる時期です。親が何かをすることに対して反抗することもあれば、親に言われたことへ反抗することもあります。
それまでは素直に言うことを聞こうとしていた子供であっても、親の指示に反するような行動をとり始めます。今までどおりの対応では言うことを聞いてくれず、手を焼く親も多いでしょう。
イヤイヤ期はなぜ起こるの?
イヤイヤ期が訪れる2歳前後は、自我が著しく成長する時期と言われています。自分の意見を主張することを覚え始めるのです。
この時期の子供の変化について、楡の会こどもクリニックの石川丹院長は楡の会発達研究センターの報告の中で以下のように述べています。
2歳を過ぎて幼児期になると、体力的にも言語的にも主張のレベルが上がるので、親はそれまでのように子どもに納得させることが出来なくなり、親からすれば反抗と映り、親子の軋轢ははっきりして来る。
(引用元:反抗期の子どもの心の理解と対応|楡の会発達研究センター報告、その17(08年1月))
イヤイヤ期に入る前は発することができる言語数も少なく、自分の気持ちを伝えることがなかなかできません。しかし幼児期に入ると、自分がやりたいこと、やりたくないことを言葉や行動として表現できるようになります。
しかしやりたい、やりたくないという気持ちは分かっても、その理由までを明確に伝えることはなかなかできません。比較的簡単な「イヤ!」、「ヤダ!」のような言葉で気持ちを表しがちです。したがって、親から見れば何にでも反抗をしているようにも見える時期かもしれません。
イヤイヤ期の子供はどんな行動を起こす?
イヤイヤ期に突入した子供はどのような場所で、どのような行動を起こすのでしょうか。
博報堂こそだて家族研究所と博報堂発の次世代育児アイテムPechatの開発チームが、「イヤイヤ研」というイヤイヤ期の研究を行うチームを発足させています。そのチームによって実施された「イヤイヤ実態調査」では、イヤイヤはどのような場所で発動するのか? という項目についても調査が行われました。調査の対象は全国の0~5歳のイヤイヤ期の子を持つ女性1,200人です。
調査の結果、以下のような回答を得ることができました。
(引用元:「イヤイヤ実態調査」第一弾|乳幼児のイヤイヤ期を研究する「イヤイヤ研」)
イヤイヤ期が発動する場所は、1位がリビング、2位が食卓、3位が物販店などのお店だということが分かります。では、それぞれの場所で起こるイヤイヤについて、具体例をご紹介します。
【リビング編】遊びをやめるよう言ってもやめない
食事の時間や外出の準備をする時間になっても、遊びをやめたくないと言う子供もいるでしょう。ほかにもテレビや動画を観ることをやめないなど、リビングではさまざまなイヤイヤが起こります。
【食卓編】「もうお腹いっぱい」とご飯を食べない
子供の中にはお腹がいっぱいではなくても、「お腹いっぱい!」と言って食べることをやめてしまう子供がいます。食事中に起こるイヤイヤとしては、遊び始めてしまう、特定のものだけを食べてしまうなどの行動などが挙げられます。
【お店編】「○○を買って!」とだだをこねる、泣く
スーパーのお菓子コーナーやおもちゃ売り場など、子供の好きなものが売られている場所で起こりやすいイヤイヤです。しくしくと泣くのではなく大声で泣いたり、座り込んだりしてしまう子供もいるでしょう。
イヤイヤ期の子供の気持ち
幼児期の子供は自己主張をし始めますが、自分の気持ちを表す言葉を多くは知りません。言葉にできないもやもやが募った結果、「イヤ!」と言うことしかできなかったり、とにかく泣きたくなってしまうという可能性があります。
親からすれば、「いつも反抗してばっかり」、「いつも泣いてばっかり」などとイライラしてしまうかもしれません。しかし子供にもどうしてそのような行動をとってしまうのか、理由がよく分からないのかもしれません。子供も苦しんでいるため、頭ごなしに叱ることは控えた方がいいこともあるでしょう。
2歳・3歳児におけるイヤイヤ期について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
子供は成長しようともがいている!粘り強く見守ろう
イヤイヤ期の子供はわがままを言っているようで、中には自分の気持ちが分からず必死にもがいている子供もいます。自分はどうしたいのか、どう思うのかを考え、伝える練習をしている時期であるとも言えるでしょう。
素直に言うことを聞いてくれない子供の姿は、親にとっては反抗的に見えるかもしれません。しかし、子供は自分の意見を主張できるようになろうとしているところなのです。
気持ちが分からずイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、親の接し方で子供の態度も変わります。粘り強く接し、子供の成長を見守りましょう。
参考
イヤイヤ期、親の対応法は?|すくこむ NHKエデュケーショナル
日本の子どもの「反抗期(自己主張期)」をめぐって|CHILD RESEARCH NET
「イヤイヤ実態調査」第一弾|乳幼児のイヤイヤ期を研究する「イヤイヤ研」
反抗期の子どもの心の理解と対応|楡の会発達研究センター報告、その17(08年1月)
「イヤイヤ期」の子どもをなだめる作戦と親子の気分を変えるアイデア集|すくこむ NHKエデュケーショナル
“魔の2歳児”はどうして生じる? イヤイヤ期のメカニズムに迫る|マイナビニュース
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