子供の運動神経を良くする大切な時期!ゴールデンエイジとは - cocoiro(ココイロ)

運動神経を良くする大切な時期!ゴールデンエイジとは

子供の体が大きくなったり、できることが増えていくのには成長段階があります。これは運動神経も同じで、運動神経を伸ばしていくのに最適な時期というものが存在しています。それは一体いつなのか? また、どのような運動をすると子供の運動神経を伸ばしてあげることができるのでしょうか?

子供の発達段階、ゴールデンエイジとは

子供の運動神経を伸ばしたくて調べものをしていると、よく「ゴールデンエイジ」という言葉を見かける方もいるのではないでしょうか? 子供の運動神経と関係の深いゴールデンエイジとは一体何なのでしょうか?

「スキャモンの発育曲線」とゴールデンエイジ

ゴールデンエイジとは、子供にとっての「運動技術の習得を容易に行うことが可能な時期」のことを指す言葉です。アメリカの医学者であるR.E.スキャモンが1928年に発表した「スキャモンの発育曲線」の中では「人間が生まれてから20歳時点までの発育」を100%としたときの人間の発達について筋肉やリンパなど4分類して模式図にしています。その中で運動神経に関わってくる神経系の発達についても述べています。

人の神経系の発達は生まれてから思春期前半までに著しい伸びを見せ、なんと12歳ごろまでにはほぼ100%まで発育してしまいます。したがって、この神経系が最も発達していく時期に合わせて様々な運動を行うことで、子供の運動神経が伸びていくのです。子供がすぐに動きを覚えたり、技術を習得できるのは、この神経系が一気に発達する時期に運動や遊びを行っているのが要因なのです。

また運動神経などの神経回路に関しては、一度形づくられて発達すると、消えることはなかなかありません。みなさんも自転車に一度補助輪なしで乗れれば、2回目以降もずっと乗れるはずですし、何年か乗らずに再び乗ったとしても運転はできるはずです。これらは神経系が衰えずに、自転車の乗り方を覚えているからこそできることなのです。

ゴールデンエイジはなぜ注目されている?

実はこのゴールデンエイジという概念が注目されて来ているのには原因があります。それは子供たちが外で遊ぶ時間が減ってきていることです。時計などを製造するシチズン時計株式会社が2016年に発表している「子どもの時間感覚」35年の推移という調査結果があります。これによると、平日に1日あたりで「外で遊んでいる時間」の項目が、1981年に2時間11分だったのに対し、2016年では1時間12分と35年の間に約1時間も短くなっていました。

転ぶ時に手をつけずにひどい怪我をしてしまったり、まっすぐ前に走ることができない、片足立ちを続けられないなど、近年子供の体に様々な問題が生じてきています。原因の1つとして外遊びを通じて身につけられるはずの多様で豊富な動きを、身につけることができないのです。

スポーツ選手においても、神経の働きが最も伸びる幼児期から成長期にかけて特定のスポーツだけでなく、いろいろな動きを身につけておくことは、将来スポーツの技能や体力を高めるために大変重要なことなのです。いいかえると、この時期にいろいろな動きを経験しておかないと、からだが成長しても運動能力が思うように伸びない、いわゆる「運動神経が鈍い」状態に陥ると考えられます。

「サンマ(遊ぶ空間、時間、仲間)がない」など様々な要因が考えられますが、本来、遊びをとおして培われる運動神経が、外遊びで体を動かす機会が減ってきていることにより、発達させづらくなってきているのです。以前であれば外遊びで自然と培われていたこれらの子供の運動神経を、ゴールデンエイジという運動神経を発達させやすい時期を狙って運動系の習い事をさせる親が増えてきているようです。

コーディネーション能力を伸ばしていける

「コーディネーション能力」とは1970年代に旧東ドイツのスポーツ運動学者が考え出した理論です。コーディネーション能力を以下の7つに分けてとらえています。

  • リズム能力   動くタイミングをつかむ
  • バランス能力  バランスを保ったり、直せる
  • 変換能力    状況に合わせ、動きを素早く変える
  • 反応能力    合図や相手に素早く適切な反応をする
  • 連結能力    体の全体をスムーズに動かす
  • 定位能力    動いているものと自分の位置を正しく把握する
  • 識別能力    道具や用具を正しく使える

運動やスポーツを行なっている時はこれら7つの能力が複雑に、そして瞬間的に組み合わさっています。

石川県の幼児の基礎運動能力を20年間継続してデータを取った研究によると、20m走とボール投げの記録が近年著しく低下してきている一方で、立ち幅跳びの記録には大きな変化がなかったそうです。これは単発的な筋力や瞬発力は今の子供も昔の子供もそれほど変わりはないが、自分の体の動きを調整する能力、つまりコーディネーション能力が低下してきていることを示しています。これは前述したような外遊びで体を動かす機会が減ったためとも考えられます。

ゴールデンエイジの時期に適切な運動を行うことでコーディネーション能力をバランスよく育てていくことで、運動神経を向上させることができるでしょう。