法務教官になるには?仕事内容・年収・求人・将来性について - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

法務教官は、非行を犯した少年に対して幅広い視野と専門的な知識をもとに指導・教育を行い、更生させる国家公務員です。あまり身近ではない法務教官の仕事ですが、その社会的役割は大きいものとなっています。

法務教官の仕事について、仕事内容から一日の流れ、法務教官になるためのルートや必要な試験、また年収や将来性についても確認しましょう。

法務教官になるには?

まずは、法務教官になるための方法を確認しましょう。

法務教官とは

法務教官は少年院や少年鑑別所に勤務し、健全な社会人として社会復帰させるよう非行を犯した少年たちに指導や教育を行います。少年鑑別所では、非行少年の問題の観察なども行います。また、刑務所や少年刑務所および拘置所にて、受刑者の改善指導などを行うこともあります。

参考

法務教官区分,法務教官区分(社会人)|法務省 

法務教官になるまでのルート

法務教官になるためには、「法務省専門職員(人間科学)採用試験」(男子=法務教官A、女子=法務教官B)に合格する必要があります。男子と女子で区分が分かれていますが、試験内容は同じです。

試験内容は公務員試験に見られる一般教養知識に加えて、心理学、教育学、福祉、社会学などの専門的な知識が問われるほか、専門試験、面接、身体検査、身体測定などがあるのが特徴です。1次試験で多肢選択式問題や筆記の論文、2次試験で人物試験や身体検査などがあります。

採用試験に合格すれば法務教官名簿に載りますが、採用内定をもらうためには自分の希望管区へはがきを送り面接を受ける必要があります。管区面接に受かると採用となります。法務教官の勤務先は、全国で約100ヶ所以上あります。

法務教官になるための学部

法務教官になるために特別な学部に入る必要はありません。受験制限は年齢のみのため、さまざまな学部から受験することができ、高卒や中卒の人でも受験が可能です。ただし採用試験のレベルは大卒程度となっています。

法務教官の仕事は非行少年の指導や教育であり、試験問題も心理学や教育学に関する内容が出ます。少年心理や犯罪心理など、心理学を学ぶと良いでしょう。

法務教官は授業や採点などの業務も行います。少年たちに教えることが多いため、教育学部も良いでしょう。

法務教官が持っておくと良い資格

法務教官を目指す人が持っておくと良い資格は特にありませんが、少年の心理に関わることから、臨床心理士の資格を持っていると仕事上役に立つこともあるでしょう。また、外国人の少年もいるため、英語や中国語、ポルトガル語などが話せると良いでしょう。

法務教官試験の難易度

法務教官試験は誰でも受験可能ですが、試験のレベルは大卒程度なので大学卒業程度の学力が求められます。法務教官の倍率は男性で6~8倍程度、女性で4倍程度と高めです。法務教官はほかの公務員に比べてマイナーなため、試験対策として公務員資格の予備校を利用する人が多くなっています。

採用試験の年齢制限

採用試験は、受験年の4月1日に21歳以上29歳未満であれば受験できます。29歳以上40歳未満なら、社会人枠採用もあります。

法務教官の仕事内容

法務教官の仕事内容について詳しくご紹介します。

法務教官の仕事内容

法務教官の仕事は、「少年院」と「少年鑑別所」で異なります。「少年院」は社会生活での更生が難しい少年を収容し、矯正する施設です。「少年鑑別所」は非行を犯した少年に対し、矯正教育を行う必要について判断する施設です。

「少年院」では、生活指導、教科指導、職業指導等を行い、健全な考え方や基礎学力を身につける矯正教育を行います。一般の教員のように授業や採点、資格取得の訓練などを行うこともあります。また就学や就労支援などを行い、円満な社会復帰を目指します。

「少年鑑別所」では、家庭裁判所の観護措置決定によって送致された少年を収容します。少年の面接や行動観察を行い、法務技官と協力して非行の原因解明のほか、改善の可能性を探り、家庭裁判所の審判や少年院・保護観察所等における指導のための資料を作成します。

法務教官の1日

少年院や少年鑑別所では、通常勤務(日勤)と夜勤(宿直勤務)があります。1週間の勤務時間は38時間45分であり、週休2日制が採用されています。1日8時間の日勤と交替制勤務を行う場合があります。

少年院には寮があり、それぞれ自分の受け持ちの寮が割り当てられ、24時間体制で保安に当たります。日勤の場合は朝8時ごろ出社し、担当の寮で夜勤職員と引継ぎを行います。授業や昼食、夕食、終礼まで見て、その後事務作業などを行い、夜勤職員へ引継ぎを行います。

夜勤では寮内への不審者の侵入や少年たちのトラブルはないかなど、安全確認を行います。仮眠をとりつつ巡回や事務作業を行い、再び日勤職員へ引き継ぎます。

少年鑑別所もほぼ同様ですが、こちらでは少年が課題を行う様子を観察し、資質を見極めて資料作成などを行います。近年では入所者が増えているところもあり、その場合は残業もあります。

法務教官の休日

法務教官は週休2日制です。有給休暇は年20日(4月1日採用時は15日)で、残った有給は20日を上限として翌年へ繰り越しができます。そのほかに病気休暇、介護休暇、特別休暇(夏季休暇、ボランティア休暇)、育児休暇(3年間)なども取得できます。

法務教官のやりがい

暴走族、特殊詐欺、違法薬物、売春などの非行を行う少年は、家庭環境や学校生活において悩みやトラブルを抱えていることが珍しくありません。一人ひとりと向き合い、信頼関係を築き、更生させて社会復帰させることが法務教官の仕事です。少年が無事更生し社会復帰したときにはやりがいを感じられるでしょう。